大容量ファイル送信・テキスト共有(P2P・登録不要)

大容量ファイル送信とテキスト共有をブラウザだけで行える無料ツールです。部屋を作って部屋名・リンク・QRコードを伝えるだけで、スマホとパソコンの間や相手とのあいだで文章やファイルを直接受け渡せます。P2P通信のためデータはサーバーに保存されません。

ファイルの受け渡し方法の比較

P2Pでの直接送信は、相手と同時に開いている必要がある代わりに、どこにもデータが残りません。用途に合わせて使い分けてください。

比較項目 このツール(P2P直接送信) クラウド保管型の転送サービス メール添付
データの置き場所 どこにも保存されない(ブラウザ間を直接流れる) 事業者のサーバーに一定期間保存される 送信側・受信側のメールサーバーに残る
サイズの上限 受信する端末次第(パソコン版Chrome・Edgeはディスクへ直接保存) サービスごとの上限あり 多くは20〜25MB程度
受け取れるタイミング 送り主と同時に開いている間だけ 保存期限内ならいつでも いつでも
相手に伝えるもの 部屋名・リンク・QRコードのいずれか ダウンロード用のURL 相手のメールアドレス(事前に必要)
向いている用途 自分の端末間や、その場にいる相手との受け渡し 時間差での受け渡し 小さなファイルの送付

P2Pファイル送信・テキスト共有とは

このツールは、ブラウザ同士を直接つなぐWebRTCという技術を使って、文章やファイルをその場で受け渡すためのものです。部屋を作ると8文字のランダムな部屋名が発行され、相手が同じ部屋名で入室すると、その瞬間から2人(またはそれ以上)のあいだでテキストとファイルをやり取りできるようになります。アプリのインストールやアカウント登録は要らず、スマートフォンとパソコン、WindowsとMac、AndroidとiPhoneのように、異なる機種のあいだでも同じ手順で使えます。

クラウドストレージ型の転送サービスと違い、送ったデータはどこのサーバーにも保存されません。サーバーが関わるのは、最初に相手を見つけて接続を確立するための仲介だけで、テキストやファイルの中身は暗号化されたうえで参加者のブラウザ間を直接流れます。部屋は誰かが在室している間だけ存在し、最後の1人が退室すると部屋名も内容も消えます。その代わり、受け取る人は送り主と同時にページを開いている必要があります。時間差で渡したい場合はクラウド保管型のサービスが向いています。

P2Pでファイルやテキストを送る手順

  1. 部屋を作る 「部屋を作る」のまま「この名前で部屋を作る」を押します。部屋名はランダムな8文字が自動で入りますが、自分で決めた名前にすることもできます。
  2. 相手に部屋を伝える 「リンクを共有」でURLを送るか、「QRコード」を相手のスマートフォンで読み取ってもらいます。口頭で部屋名を伝え、相手に「部屋に入る」から入力してもらう方法でもかまいません。
  3. テキストを送る 共有するテキストの欄に文章を貼り付けて「送信」を押します。受け取った側は各投稿の「コピー」ボタンで、そのままクリップボードへ写せます。
  4. ファイルを送る・受け取る ファイルを選ぶかドロップすると、相手の画面に「受け取る」ボタンが出ます。相手が押すと送信が始まり、完了後に「保存」で端末へ保存できます。
  5. 終わったら退室する 「退室」を押すかタブを閉じると、部屋から抜けます。全員が抜けると部屋は消え、共有した内容も残りません。

使いこなすためのヒント

  • 送信中はスマートフォンの画面を消したり、別のアプリに切り替えたりしないでください。ブラウザが一時停止して接続が切れることがあります。
  • 数GBを超えるような大きなファイルは、受け取る側をパソコン版のChromeかEdgeにすると確実です。保存先を先に選び、ディスクへ直接書き込むため端末のメモリを圧迫しません。
  • フォルダごと送りたいときは、先にZIP圧縮で1つのファイルにまとめると、受け取る側の手間が減ります。
  • あとから入室した人にも、それまでに送ったテキストは表示されます。ファイルは送り主が在室している間であれば、いつでも「受け取る」を押して取得できます。

P2Pファイル送信・テキスト共有の活用シーン

スマホからパソコンへ写真や動画を送る

スマートフォンで撮った写真や動画を、ケーブルもクラウドの同期も使わずにパソコンへ移せます。パソコンで部屋を作り、QRコードをスマートフォンで読み取れば、そのまま送信できます。

パソコン間で長い文章やURLを受け渡す

会議室のパソコンと自分のノートパソコンのあいだで、議事録やURL、設定ファイルの中身などをコピーして渡したいときに使えます。チャットツールに一時的な投稿を残さずに済みます。

目の前の相手と資料を交換する

打ち合わせの場で、連絡先を交換していない相手とも資料をやり取りできます。部屋名を口頭で伝えるだけなので、メールアドレスやSNSのアカウントを教え合う必要がありません。

メールで送れない大容量ファイルを渡す

添付の上限を超える動画やデザインデータを、クラウドへアップロードせずに直接渡せます。外部サーバーに預けたくない社外秘のファイルの受け渡しにも向いています。

P2Pファイル送信に関する用語

P2P(ピアツーピア)
サーバーを介さず、端末同士が対等な立場で直接データをやり取りする通信方式です。このツールでは、テキストやファイルの中身が参加者のブラウザ間をP2Pで流れます。
WebRTC
ブラウザ同士がプラグインなしで直接通信するための標準技術です。ビデオ会議でよく使われますが、任意のデータを送るDataChannelという仕組みも備えており、このツールはそれを使っています。
シグナリング
P2P接続を始める前に、互いの接続情報(通信方式や候補となるアドレス)を交換する手順です。この仲介だけはサーバーを使いますが、送るテキストやファイルの中身は含まれません。
STUN
ルーターの外側から見た自分のIPアドレスとポートを調べるための仕組みです。これによって、別々のネットワークにいる端末同士でも直接つながれる経路を探します。データの中継はしません。
NAT
家庭や会社のルーターが、内部の複数の端末を1つのグローバルIPアドレスで外部へつなぐ仕組みです。NATの種類の組み合わせによっては、P2Pの直接接続が成立しないことがあります。
DTLS
WebRTCのデータ通信を暗号化するプロトコルで、ウェブサイトのHTTPSで使われるTLSを、パケット単位の通信向けにしたものです。WebRTCでは暗号化が必須とされており、無効にはできません。

よくある質問

残りません。テキストやファイルの中身は参加者のブラウザ間を直接流れ、どこにも保存されません。サーバーが扱うのは、相手を見つけて接続するための仲介情報(部屋名から作るIDと接続候補のアドレス)だけです。全員が退室すると部屋そのものが消えます。

ツール側の上限はありません。パソコン版のChromeとEdgeでは、受け取るときに保存先を選んでディスクへ直接書き込むため、数GB以上のファイルも受け取れます。それ以外のブラウザでは受信中のデータを端末のメモリに溜めるため、扱える大きさは端末のメモリ量に左右されます。

部屋は全員が退室した時点で消えるため、相手がすでにページを閉じている可能性があります。また、社内ネットワークや一部のモバイル回線では、ファイアウォールやNATの種類によって端末同士の直接通信が遮られることがあります。その場合は、Wi-Fiに切り替えるなど別のネットワークでお試しください。

部屋名を知っている人は誰でも入れます。ランダムな8文字の部屋名は約8,500億通りあり、偶然一致することはまずありませんが、自分で決めた短い名前や単語は推測される恐れがあります。秘密の情報を送るときはランダムな部屋名を使い、在室者の一覧に知らない名前がないか確認してください。

伝わります。P2Pで直接つながるためには、互いのIPアドレスを知る必要があるからです。これはWebRTCを使うビデオ通話などでも同じです。IPアドレスを知られたくない相手とは、このツールではなくクラウド保管型の転送サービスを使ってください。
ツールくん

余談ですが ― 同じ家のWi-Fiなのに「直接」つながるまで

ブラウザ同士を直接つなぐといっても、インターネット上の端末の多くは、自分のグローバルIPアドレスを持っていません。家庭や会社のルーターがNATという仕組みで、内部の複数の端末を1つのアドレスにまとめて外へ出しているためです。外から見ると、どの端末宛ての通信なのかが分からず、普通にはこちらから相手へ話しかけることができません。

そこでWebRTCは、STUNサーバーに問い合わせて「外から見た自分のアドレスとポート番号」を調べ、それを相手と交換します。双方がほぼ同時に相手のアドレスへパケットを送ると、各ルーターは「内側から送った通信への返事」と見なして通してくれます。この手法はUDPホールパンチングと呼ばれ、オンラインゲームやIP電話でも使われてきた古典的な技です。同じWi-Fiにつながった端末同士なら、ルーターの内側のアドレスで直接つながるため、インターネットを経由せずにより速く転送できます。

ただし、通信のたびに外向きのポート番号を変えるタイプのNAT(対称型NAT)や、携帯電話会社が多数の利用者を1つのアドレスにまとめるキャリアグレードNATでは、この技が通用しないことがあります。一般的なビデオ会議サービスは、こうした場合に備えてTURNという中継サーバーを用意し、通信を代わりに受け渡します。このツールは「サーバーを経由させない」ことを優先して中継を使っていないため、ごく一部の環境では直接つながりません。WebRTCが2021年1月にW3CとIETFの正式な標準になってから、こうした仕組みはすべてのモダンブラウザに標準で組み込まれています。