大気の層 可視化ツール(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏・外気圏)
地表から宇宙空間までの大気の層構造(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏・外気圏)を1本の縦長図でクリックしながら確認できる無料ツールです。オゾン層・カーマン・ライン・ISSの軌道等の目安高度も表示します。
大気の層・目印 一覧
| 名称 | 種類 | 高度の目安 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 対流圏 | 大気の層 | 0–12km | 地表からもっとも近い層で、雲・雨・雪といった天気現象のほぼすべてがここで起こります。上空ほど気温が下がり、上端では氷点下50℃前後になります。 |
| 旅客機の巡航高度 | 目印(高度の目安) | 10–12km | 大型旅客機が長距離飛行時に巡航する高度の目安です。対流圏と成層圏の境目付近を飛ぶことで、燃費の良さと乱気流の少なさを両立させています。 |
| 成層圏 | 大気の層 | 12–50km | オゾン層を含み、紫外線を吸収して気温が上昇に転じる層です。空気の対流が少なく安定しているため、旅客機はこの層の下部を巡航することが多いです。 |
| オゾン層 | 目印(高度の目安) | 15–35km | 成層圏の中にある、オゾン濃度が高い層です。太陽からの有害な紫外線の大部分を吸収し、地上の生物を守る役割を果たしています。 |
| 中間圏 | 大気の層 | 50–85km | 大気の中でもっとも気温が低い層で、上端は氷点下90℃近くまで下がります。流れ星(流星)が発光して消えるのは主にこの層です。 |
| 熱圏 | 大気の層 | 85–600km | 太陽からの紫外線・X線を吸収して気温が大きく上昇する層です。オーロラが発生し、国際宇宙ステーション(ISS)もこの層の中を周回しています。 |
| カーマン・ライン | 目印(高度の目安) | 100km | 国際航空連盟(FAI)が「宇宙の境界」と定めている高度です。この高度を超えて飛行すると、一般に「宇宙飛行」と呼ばれます。 |
| オーロラの発生高度 | 目印(高度の目安) | 100–300km | 太陽風が地球の磁場や大気とぶつかって発光する現象で、この高度帯で多く観測されます。北極・南極に近い高緯度地域で見られることが多いのが特徴です。 |
| 国際宇宙ステーション(ISS)の軌道 | 目印(高度の目安) | 400km | 宇宙飛行士が長期滞在する国際宇宙ステーションが地球を周回している高度の目安です。この高度でも大気はわずかに残っており、少しずつ高度が下がるため定期的な軌道修正が必要です。 |
| 外気圏 | 大気の層 | 600–10000km | 大気の最も外側の層で、空気の密度が極めて薄く、明確な上端はなく徐々に宇宙空間へと溶け込んでいきます。多くの人工衛星はこの層より下、熱圏を周回しています。 |
大気の層とは
地表から宇宙空間までの大気を、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏・外気圏の5つに分けて1本の縦長の図で見られるツールです。オゾン層やカーマン・ライン、国際宇宙ステーションの軌道など、目印になる高度も同じ図の上に置いてあります。
まず押さえておきたいのは、この5つの層が「高度で機械的に区切ったもの」ではなく、気温が高さとともにどう変わるかで分けられているという点です。 対流圏では高くなるほど気温が下がり、成層圏では逆に上がり、中間圏でまた下がり、熱圏でふたたび上がります。層の境目(対流圏界面・成層圏界面・中間圏界面)は、この上がり下がりが切り替わるちょうどその高さです。密度や成分で分けているのではありません。
成層圏で気温が上がるのは、そこにあるオゾンが太陽の紫外線を吸って熱に変えているからです。 つまりオゾン層は「有害な紫外線を遮る膜」であると同時に、大気の温度構造そのものを作っている層でもあります。この温度の並びが、下が冷たく上が暖かいという上下の入れ替わりにくい配置になるため、成層圏では空気が縦に混ざりにくく、雲もほとんど生まれません。旅客機が対流圏の上のあたりを飛ぶのは、揺れの元になる対流から逃れられるからです。
熱圏はしばしば「1,000℃を超える」と説明されますが、そこへ行っても暖かくは感じません。 気温は分子1個あたりの運動の激しさを表す量であって、伝わってくる熱の量ではありません。熱圏は分子がきわめてまばらなので、体に当たる分子の数が少なく、結果として熱はほとんど伝わらないのです。気温の高さと「暑さ」が一致しない、身近な例のひとつです。
このツールの使い方
- 図の層をクリックする 選んだ層の高度の範囲と特徴が表示されます。
- 気温の変わり方を追う 層ごとに上がる・下がるが入れ替わります。 境目がどこかを目で確かめられます。
- 目印の高度と見比べる オゾン層・カーマン・ライン・ISSの軌道などが同じ図の上にあります。
- 一覧表と行き来する 図で場所をつかんでから、表で数値を確かめると頭に入りやすくなります。
使いこなすためのヒント
- 層(対流圏〜外気圏の5層、色分けされた帯)をクリックすると、その層の気温変化や特徴が表示されます。
- カーマン・ラインやISSの軌道等の「目印」は、層の中の特定の高度を示す点です。層と同様にクリックで詳細を確認できます。
- 飛行機の巡航高度と対流圏・成層圏の境目を見比べると、旅客機がなぜあの高さを飛ぶのかが直感的にわかります。
- 図はスクロールせずに全体を見渡せるよう対数スケール(高度が上がるほど1kmあたりの表示幅が狭くなる目盛り)で描かれています。
こんなときに使えます
学校の理科で層の順番を覚えるとき
縦に並べて見ると、名前の丸暗記より順序が定着します。
飛行機の高度がどのあたりか知りたいとき
巡航高度は対流圏の上端付近です。 雲の上を飛ぶ理由も同時に分かります。
宇宙の境目について調べるとき
カーマン・ラインは高度100km付近に引かれた取り決めで、物理的な壁ではありません。
オーロラや流れ星の高さを確かめるとき
どちらも図の上のほうで起きる現象で、層と対応づけて見られます。
この分野の用語
- 対流圏
- 地表からおよそ10km前後までの層です。気象現象のほとんどがここで起こり、高くなるほど気温が下がります。
- 成層圏
- 対流圏の上の層です。オゾンが紫外線を吸うため、高くなるほど気温が上がります。
- 中間圏
- 成層圏の上の層で、ふたたび気温が下がります。流れ星が光るのはおおむねこの高さです。
- 熱圏
- 中間圏の上の層です。気温は非常に高い値を示しますが、分子がまばらなため熱はほとんど伝わりません。
- オゾン層
- 成層圏の中で特にオゾンが多い領域です。紫外線を吸収し、成層圏の温度構造をつくっています。
- カーマン・ライン
- 高度100km付近に引かれた宇宙との境界の目安です。自然の境目ではなく、便宜上の取り決めです。
よくある質問
余談ですが ― なぜ空は青く、宇宙は真っ黒に見えるのか
昼間の空が青く見えるのは、太陽光が対流圏の空気分子にぶつかって散乱する際、波長の短い青色の光がほかの色よりも強く散乱される「レイリー散乱」という現象が原因です。高度が上がり空気が薄くなるにつれてこの散乱が弱まっていくため、成層圏を超えたあたりから空の色は徐々に紺色から黒に近づいていきます。
大気の層の境目は、気温の変化のしかたが逆転する高度として定義されています。対流圏では高度が上がるほど気温が下がりますが、成層圏に入るとオゾン層が紫外線を吸収する影響で気温が上昇に転じます。この「気温変化の向きが変わる境目」を境界(圏界面)と呼び、対流圏と成層圏の間の境目は対流圏界面、成層圏と中間圏の間は成層圏界面と呼ばれています。
流れ星(流星)は、宇宙空間を漂う小さな塵や岩石が地球の大気に高速で突入し、空気との摩擦で高温になって光る現象です。これが主に発生するのは中間圏(高度50〜85km程度)で、多くの流星はこの層の中で燃え尽きてしまいます。まれに燃え尽きずに地表まで到達したものが「隕石」と呼ばれます。