オーストラリア給与手取り計算(所得税・メディケア税・Australia Tax Calculator)

オーストラリアの額面年収を入力すると、居住者向け所得税(LITO適用後)・メディケア税(Medicare Levy)・HECS-HELP返済額を差し引いた手取り額を無料で自動計算します。

オーストラリアの手取り計算とは

オーストラリアでは、額面給与から所得税・メディケア税(Medicare Levy)、人によってはHECS-HELP(学資ローン)の返済額が差し引かれた金額が実際の手取りになります。このツールは額面年収を入力するだけで、豪州国税庁(ATO)が公表する2026-27年度の税率表・メディケア税減免しきい値・低所得者税額控除(LITO)に基づいてこれらを個別に計算し、実際にいくら手元に残るのかを示します。

日本の会社員がイメージする「社会保険料」に相当する強制拠出は、オーストラリアでは給与から天引きされる代わりに雇用主が別枠で拠出するスーパーアニュエーション(退職年金)という形を取ります。そのため額面と手取りの差は主に所得税とメディケア税で構成される、比較的シンプルな構造です。一方で大学の授業料ローンであるHECS-HELPは、卒業後に一定の所得を超えると給与から天引きの形で返済が始まる点が特徴的で、このツールでは残高の有無を選んで返済額を含めた試算ができます。

この計算に使っている基準

税率・保険料率などの法定の値は、次の公的機関が公表しているものを使用しています。制度改正により変わることがあるため、重要な判断をされる際は一次情報もあわせてご確認ください。

  • オーストラリア居住者向け所得税率表・低所得者税額控除(LITO)・メディケア税のしきい値・HECS-HELP返済率表 オーストラリア国税庁(ATO) 2026-07〜2027-06 適用 / 最終確認 2026-09-16

オーストラリアの手取りを試算する手順

  1. 額面年収を入力する 雇用契約書やオファーレターに記載されている、控除前の年収(豪ドル)を入力します。
  2. HECS-HELPの残高有無を選ぶ 大学等の学資ローンが残っている場合はチェックを入れると、返済額も差し引いた手取りが表示されます。
  3. 内訳を確認する 所得税(LITO適用前後)・メディケア税・HECS-HELP返済額がそれぞれ表示され、何にいくら引かれているかが分かります。
  4. 手取り額を確認する 結果パネル上部に年間・月間の手取り見込み額が表示され、グラフで他の年収帯とも比較できます。

使いこなすためのヒント

  • LITO(低所得者税額控除)は課税所得37,500ドルまでは満額700ドルですが、45,000ドルを超えると段階的に逓減し、66,667ドルでゼロになります。年収がこの範囲にある場合、税額控除の減り方も手取りの伸びに影響します。
  • メディケア税は課税所得28,011ドル以下では非課税ですが、そこから約35,014ドルまでの間は超過分の10%という緩和税率が適用され、それを超えると一律2%になります。
  • HECS-HELPの返済は累進方式で、しきい値(69,528ドル)を超えた部分にのみ返済率が適用されます。年収が上がるにつれて返済率も段階的に上がる仕組みです。
  • スーパーアニュエーション(Superannuation Guarantee、給与の12%相当)は雇用主が別途拠出するもので、多くの求人票の年収表示にはこれが含まれているか(package inclusive of super)が明記されているため、オファー比較の際は確認しておくとよいでしょう。
  • 民間の病院保険(Private Hospital Cover)に加入していない高所得者は、メディケア税に加えてメディケア税サーチャージが上乗せされる場合があり、このツールでは考慮していません。

このツールの活用シーン

オーストラリアへの就職・転職オファーを評価する

額面の比較だけでなく、所得税・メディケア税を差し引いた実際の手取り額同士で新旧の給与を比較できます。

ワーキングホリデーや移住の生活費を計画する

想定年収から現実的な月々の手取りを事前に把握し、渡航前の生活費シミュレーションに役立てられます。

卒業後のHECS-HELP返済額を見積もる

就職後の年収見込みからHECS-HELPの返済額を含めた手取りを試算し、返済計画を立てる材料にできます。

昇給交渉やオファー比較の材料にする

提示された年収のうち、所得税・メディケア税控除後に実際に手元へ残る割合を確認できます。

オーストラリアの給与控除に関する用語

所得税(Income Tax)
オーストラリア国税庁(ATO)が徴収する累進課税の税金で、課税所得の水準に応じて5段階の税率が適用されます。
LITO(Low Income Tax Offset)
低所得者税額控除。課税所得が一定額以下の場合に所得税額から差し引かれる非還付の税額控除で、所得が上がるにつれて段階的に減少します。
メディケア税(Medicare Levy)
オーストラリアの公的医療制度(メディケア)の財源として、課税所得に対して課される税金です。標準税率は2%で、低所得者には減免があります。
メディケア税サーチャージ(Medicare Levy Surcharge)
民間の病院保険に加入していない高所得者に追加で課される税金です。このツールでは考慮していません。
HECS-HELP
大学等の授業料を対象とした政府融資制度です。卒業後、課税所得が返済しきい値を超えると、給与から天引きの形で返済が始まります。
スーパーアニュエーション(Superannuation)
オーストラリアの退職年金制度です。雇用主が給与とは別に一定割合を拠出する義務があり、通常は額面年収から差し引かれません。
課税年度(Financial Year)
オーストラリアの税務年度は7月1日に始まり翌年6月30日に終わります。このツールは2026年7月から2027年6月までの税率を使用しています。

よくある質問

いいえ、含まれていません。メディケア税サーチャージは民間の病院保険に加入していない高所得者に追加で課される税金で、加入状況によって金額が変わるため、このツールの試算範囲外としています。

いいえ。スーパーアニュエーションは雇用主が給与とは別に拠出する退職年金の掛金で、通常は額面年収から天引きされません。そのためこのツールの手取り額の計算には含めていません。

課税所得が返済しきい値(2026-27年度は69,528ドル)を超えると、超過分に応じた累進的な返済率が適用されます。所得が高いほど返済率も段階的に上がり、186,050ドルを超えると総所得の10%が返済額の目安になります。

いいえ。ワーキングホリデーメーカーには「ワーキングホリデーメーカー税率」という別の税率表が適用され、税務上の居住者向けの非課税枠(Tax-free threshold)が原則として適用されません。このツールは税務上の居住者を前提としているため、正確な結果にはなりません。
ツールくん

余談ですが ― なぜオーストラリアには「社会保険料」が見当たらないのか

日本の給与明細を見慣れていると、オーストラリアの給与控除の少なさに驚くかもしれません。健康保険料も厚生年金保険料も雇用保険料も、日本のように額面から天引きされる項目としては存在しないからです。その理由は、これらに相当する制度がオーストラリアには「無い」のではなく、「別の形」で存在しているためです。

退職後の年金にあたるスーパーアニュエーションは、雇用主が給与とは別枠で、従業員ごとに指定された年金口座へ拠出する仕組みになっています。したがって額面年収を見ても天引きされているようには見えず、求人情報を見る際も「年収にスーパーアニュエーションが含まれているか」を必ず確認する必要があります。含まれていない場合、実質的な総報酬は表示額より高くなります。

医療についても同様で、公的医療制度メディケアの財源はメディケア税という形で所得税とあわせて徴収されます。日本の健康保険料のように定率で天引きされる項目としてではなく、確定申告(Tax Return)を通じて年間の所得税額の一部として計算される点が異なります。

HECS-HELPも興味深い制度です。大学の授業料は入学時に一括で払う必要がなく、政府が立て替えたローンとして扱われます。返済は在学中には発生せず、卒業後に一定の所得水準を超えて初めて、給与から天引きの形で自動的に始まります。奨学金というより「所得連動型の後払い授業料」に近い仕組みで、多くのオーストラリア人が意識せずにこの制度の恩恵を受けています。