XIRR計算ツール(不定期キャッシュフロー実質利回り)

不定期な日付・不定期な金額の入出金(追加投資・一部売却・配当受取など)から、実質年利回り(XIRR)をニュートン法で計算します。積立投資や複数回の売買がある投資の本当の利回りを知りたいときに使えます。

XIRR(不定期キャッシュフロー実質利回り)とは

XIRR(Extended Internal Rate of Return)は、日付も金額も不定期な複数回の入出金(キャッシュフロー)から、それらすべてを1つの複利年率で説明できるとしたときの実質的な年利回りを逆算する指標です。CAGR(年平均成長率)や投資利回り計算のように「期首に1回投入し、期末に1回だけ回収する」単純なケースでは扱えない、積立投資の追加拠出・一部の解約や配当受取・不定期なタイミングでの売買を、発生した実際の日付のまま計算に反映できます。

本ツールは日付と金額のペアを何行でも追加でき、ニュートン法(収束しない場合は二分探索)によって正味現在価値(NPV)がゼロになる年率を数値的に求めます。入力するキャッシュフローは、投資・拠出であればマイナスの金額、回収・分配であればプラスの金額として入力してください。少なくとも1件のマイナスと1件のプラス、かつ異なる日付が2種類以上あれば計算できます。

XIRR計算ツールの使い方

  1. 最初の投資(支出)を入力する 投資を開始した日付と、マイナスの金額(支出)を1行目に入力します
  2. 追加の入出金があれば行を追加する 追加投資(マイナス)・一部売却や配当受取(プラス)がある場合は「行を追加」でその都度の日付と金額を入力します
  3. 最終的な回収額を入力する 現在の評価額や売却額など、最後の回収をプラスの金額として入力します
  4. 計算結果を確認する 実質年利回り(XIRR)と、投資総額・回収総額・損益・運用期間の日数が自動で表示されます

使いこなすためのヒント

  • 入力するキャッシュフローの符号を間違えると正しい結果が出ません。お金が出ていく投資・拠出はマイナス、お金が入ってくる回収・分配はプラスで統一してください。
  • 最終行に「まだ売却していない投資の現時点の評価額」をプラスの金額として入力すれば、含み益・含み損を反映した現時点でのXIRRを試算できます。
  • 単発の投資(1回の投入と1回の回収だけ)であれば、より簡潔なCAGR計算ツールでも同じ結果が得られます。不定期な複数回の入出金がある場合に本ツールを使い分けてください。
  • 日付の間隔が極端に短い(数日程度)キャッシュフローが含まれると、年率換算の際に実際の感覚よりも大きな数値・小さな数値が出ることがあります。結果と合わせて投資総額・回収総額も確認することをおすすめします。

活用シーン

積立投資の実質利回りを検証する

毎月・毎年など不定期なタイミングで買い増した投資信託や株式の、最終的な実質年利回りを1つの数値で把握できます

不動産投資の利回りを評価する

購入時の初期費用、保有中の家賃収入・追加修繕費、売却時の売却額といった不定期なキャッシュフローをまとめて評価する際に使えます

複数回に分けて解約した投資信託の利回りを確認する

一括ではなく複数回に分けて売却・解約した場合でも、それぞれの日付と金額を入力すれば正確な実質利回りが分かります

CAGR計算・投資利回り計算と使い分ける

単発の期首・期末の2点だけで済む場合はCAGR計算ツールを、複数回の入出金がある場合は本ツールを使うと目的に合った利回りを求められます

用語集

XIRR(Extended Internal Rate of Return)
日付・金額がともに不定期な複数のキャッシュフローから逆算する、複利ベースの実質年利回りです。通常のIRR(内部収益率)が等間隔の期間(毎年・毎月など)を前提とするのに対し、XIRRは実際の発生日をそのまま使えるため、不定期な入出金があるケースでも正確な年率を求められます。
正味現在価値(NPV)
すべてのキャッシュフローを、ある割引率で現在時点の価値に割り引いて合計した値です。XIRRは、このNPVがちょうどゼロになる割引率として定義されます。
ニュートン法
関数の根(値がゼロになる点)を数値的に求めるための反復計算アルゴリズムです。XIRRの計算では、NPVを年率の関数とみなし、その根(NPV=0となる年率)をニュートン法で高速に絞り込みます。
キャッシュフロー
ある時点で発生する資金の出入りです。投資や拠出のように資金が出ていく場合はマイナス、配当や売却代金の受け取りのように資金が入ってくる場合はプラスとして扱います。
内部収益率(IRR)
一連のキャッシュフローの正味現在価値をゼロにする割引率のことです。XIRRは、キャッシュフローの発生タイミングが不定期な場合にも対応できるよう、IRRの考え方を実際の日付ベースに拡張したものです。

よくある質問

CAGRは期首の1回の投入と期末の1回の回収という2点だけを前提にした年平均成長率です。これに対しXIRRは、途中で何度も追加投資や一部売却があっても、それぞれの実際の日付と金額をそのまま使って実質年利回りを計算できる点が異なります。

XIRRを計算するには、マイナスの金額(支出)とプラスの金額(収入)が少なくとも1件ずつ必要で、かつ日付が2種類以上必要です。すべて同じ符号の金額になっていたり、日付がすべて同じになっていたりすると計算できません。入力内容を見直してください。

はい。投資した総額よりも回収した総額が少ない場合、XIRRはマイナスの値になります。これは、その投資が年平均でどれくらいの割合で価値を失い続けたと仮定できるかを示します。

いいえ。本ツールは各行の日付を見て自動的に時系列を判断するため、入力する行の順序は問いません。ただし、日付は正しく入力してください。

いいえ。XIRRはあくまで過去に実際に発生したキャッシュフロー(または想定した金額)から逆算した実績値・試算値であり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断の参考情報の一つとしてご利用ください。
ツールくん

余談ですが ― なぜ「単純な利回り」では投資の実態を見誤るのか

投資の利回りを計算するとき、多くの人はまず「(回収額 - 投資額) ÷ 投資額」という単純な計算をしがちです。しかし、この方法には大きな弱点があります。それは、お金がいつ投入され、いつ回収されたのかという「時間」の要素をまったく考慮していない点です。100万円を1年で150万円にした投資と、10年かけて150万円にした投資では、同じ50%のリターンでも実際の価値はまったく異なります。XIRRはこの時間の要素を正しく織り込むことで、異なるタイミングで行われた投資同士を公平に比較できるようにする指標です。

XIRRが特に真価を発揮するのは、積立投資や不動産投資のように、資金の出入りが1回きりではないケースです。たとえば毎年少しずつ買い増しを行った投資信託を考えてみましょう。最初の投資から長い年数が経過した資金と、直近に投資したばかりの資金とでは、同じ金額でも「複利で働いた期間」がまったく異なります。単純に総投資額と総回収額だけを比べると、この違いが埋もれてしまい、実質的な運用効率を見誤る原因になります。XIRRは各キャッシュフローの発生日を個別に使って割引計算を行うため、こうした複雑な入出金のパターンでも一貫した年率で評価できます。

計算の仕組みそのものは、金融の教科書でおなじみの「正味現在価値(NPV)」の考え方を応用したものです。NPVは、将来発生するお金を「今の価値に割り引いて」合計する計算ですが、XIRRはこの割引率を、NPVがちょうどゼロになるように逆算しています。手計算でこの値を一発で求めることはできないため、ニュートン法のような反復計算のアルゴリズムを使うのが実務上の標準的な方法になっており、表計算ソフトの同名の関数も内部では同じ考え方で数値的に解を探索しています。