米国老齢年金 遺族給付(Social Security Survivor Benefit)計算ツール
米国のSocial Security遺族給付(Survivor Benefit)を無料で試算。死亡した収入者の年収・受給状況と、遺族(配偶者)の生年・受給開始年齢を入力すると、月々の遺族給付の見込み額を計算できます。
この計算ツールの仕組み
米国のSocial Securityには、収入者が死亡した場合に配偶者(遺族)へ支払われる遺族給付(Survivor Benefit)という制度があります。遺族は60歳から受給を開始できますが、満額受給年齢(FRA)より前に申請すると71.5%〜100%の間で按分減額されます。基準となる金額は、死亡した収入者が受給を開始していたかどうかによって変わります。
収入者が受給開始前に死亡した場合は基礎年金額(PIA)がそのまま基準になり、FRAより後まで存命だった場合は繰下げ増額分が加算されます。反対に、FRAより前に減額を受けて受給を開始していた場合は、実際の受給額とPIAの82.5%(遺族の限度額)のうち高い方が基準になります。このツールはこの3パターンをすべて考慮して、遺族が受け取れる月額を試算します。
使い方
- 死亡した収入者の年収を入力する 遺族給付の基準となるPIAの算定に使われます。
- 死亡した収入者の生年を入力する 満額受給年齢(FRA)が決まり、基準額の算定に影響します。
- 受給状況を選ぶ FRAより前に受給を開始していたか、未受給(またはFRA以降の開始)かを選びます。
- 遺族の生年と受給開始予定年齢を入力する 遺族自身のFRAが決まり、60歳からFRAまでの間で按分減額される支給率が決まります。
- 年齢別の一覧表で比較する 結果の下に60〜67歳すべての月額が一覧表示されるため、受給開始時期の選択肢を一目で比較できます。
使いこなすためのヒント
- 遺族給付は死亡した収入者の受給状況によって基準額が変わるため、配偶者給付とは減額・増額のルールが異なります。
- 死亡した収入者がFRAより前に年金を減額して受給していた場合でも、遺族給付の基準額はPIAの82.5%を下回りません(遺族の限度額)。
- 遺族自身の受給開始をFRAより後に遅らせても、遺族給付には繰下げによる増額はありません(60歳〜FRAの間で按分減額されるのみです)。
- 遺族自身にも十分な就労歴があり自身の受給額の方が高い場合は、遺族給付ではなく自身の受給額が適用されます(このツールは遺族給付単体の試算です)。
- 死亡した収入者本人の受給見込み額は、姉妹ツールの「米国老齢年金受給見込み額計算ツール」で確認できます。
こんな場面で使えます
配偶者を亡くした後の生活費計画を立てる
遺族給付の見込み額を把握し、今後の生活費計画に反映します。
遺族給付の受給開始タイミングを検討する
60歳で早期受給するか、FRAまで待つかを年齢別の一覧表で比較します。
死亡した収入者の受給状況別に見込み額を比較する
受給開始前・受給開始済みなど状況別に基準額がどう変わるかを確認します。
ファイナンシャルプランニングの相談材料にする
正式な請求前に、おおよその遺族給付額を把握しておく目的で使えます。
用語集
- 遺族給付(Survivor Benefit)
- 死亡した収入者の年金受給資格に基づき、配偶者(遺族)に支払われる給付です。
- 遺族の限度額(Widow(er)'s Limit)
- 死亡した収入者がFRAより前に減額受給していた場合でも、遺族給付の基準額をPIAの82.5%以上に保証するSSAのルールです。
- PIA(基礎年金額)
- 満額受給年齢(FRA)ちょうどで受給を開始した場合に受け取れる月額です。
- 満額受給年齢(FRA)
- PIAの100%を受け取れる年齢で、生年により66歳から67歳の間で決まります。
- 按分減額
- 遺族給付を60歳からFRAより前に申請した場合に、申請時期に応じて恒久的に減額される仕組みです。
- 課税対象上限額(Wage Base)
- Social Securityの税・受給額計算に算入される年間収入の上限額(2026年は184,500ドル)です。
よくある質問
遺族給付という仕組みが生まれた背景
遺族給付は1939年の社会保障法改正で、配偶者給付と同じタイミングで導入された制度です。当時は一方の配偶者が生涯の家計を支え、収入者が死亡すると残された配偶者が収入を失うという事態を防ぐ目的で、死亡した収入者の受給資格を遺族が引き継げる仕組みが作られました。
遺族の限度額(Widow(er)'s Limit)が導入されたのは1972年の改正です。それ以前は、死亡した収入者が早期受給で年金額を大きく減らしていた場合、遺族給付も連動して低くなってしまう問題がありました。82.5%という下限を設けることで、収入者本人の受給開始タイミングの選択が、遺族の生活保障を過度に損なわないよう調整されています。
遺族給付にFRA以降の繰下げ増額が無い理由は、配偶者給付と同様にこの給付が「就労への対価」ではなく「世帯単位の生活保障」という位置づけであることに由来します。本人の受給が繰下げにより増える一方、遺族給付は60歳からFRAまでの按分減額だけで完結する設計が、この制度の性質を表しています。