401(k)(米国企業型退職金プラン)計算ツール
現在の年齢・年収・拠出率・雇用主マッチング率を入力すると、米国の401(k)の退職時点の推定残高と、Traditional(拠出時非課税)とRoth(受取時非課税)の税制の違いを試算します。
401(k)とは
401(k)は、米国の企業が従業員向けに提供する税制優遇のある企業型退職金プラン(確定拠出年金)です。従業員は給与の一部を毎月拠出し、多くの企業では拠出額の一部または全額を雇用主が上乗せして支払う「雇用主マッチング」制度を設けています。拠出したお金は投資信託等で運用され、退職時にまとめて受け取ります。
本ツールは、現在の年齢・年収・拠出率・雇用主マッチングの条件・想定リターンを入力すると、退職予定年齢までの残高推移を年単位で試算します。拠出時に課税されないTraditional 401(k)と、拠出時に課税済みで受取時が非課税になるRoth 401(k)の違いも比較できます。
使い方
- 現在の年齢と退職予定年齢を入力する 何年間積立を続けるかを決める基本情報です
- 現在の401(k)残高と年収を入力する 転職等で複数のプランがある場合は合算して入力してください
- 拠出率と雇用主マッチングの条件を入力する 雇用主マッチング率・マッチング対象の上限は、勤務先の福利厚生資料(Summary Plan Description)で確認できます
- 口座タイプ(Traditional / Roth)を選ぶ 拠出時に税負担を軽減したいか、退職後の受取を非課税にしたいかで選択します
使いこなすためのヒント
- 雇用主マッチングを最大限受け取れる拠出率まで拠出することを、多くのファイナンシャルプランナーは「無料のお金を取り漏らさない」ための最優先事項として勧めています。
- 拠出率を毎年の昇給に合わせて自動的に引き上げる「自動増額(auto-escalation)」機能を提供するプランもあります。無理なく拠出額を増やしたい場合に活用できます。
- 本ツールの想定年間リターンは長期の平均的な数値を前提とした簡易試算です。実際の運用成績は市場の変動によって年ごとに大きく異なります。
- 複数の勤務先の401(k)残高がある場合、IRA(個人退職口座)へのロールオーバーでまとめて管理すると運用状況を把握しやすくなります。
活用シーン
雇用主マッチングを最大限活用できているか確認する
拠出率をマッチング対象の上限まで上げることで、雇用主マッチングを取り漏らしていないか確認できます
Traditional と Roth のどちらが有利か検討する
現在と退職後の想定税率を比較しながら、税制優遇の受け方を検討する材料になります
転職時の退職金プランの引き継ぎを検討する
転職先の401(k)プランの条件を入力し直すことで、拠出戦略の見直しに活用できます
用語集
- キャッチアップ拠出
- 50歳以上の従業員に認められる、通常の拠出上限に加えて上乗せできる追加拠出です。2026年は50〜59歳・64歳以上が$8,000、60〜63歳はさらに多い$11,250の上乗せが認められています(SECURE 2.0法による)。
- 雇用主マッチング(エンプロイヤーマッチ)
- 従業員が401(k)に拠出した金額の一部または全額を、雇用主が上乗せして支払う制度です。例えば「拠出の100%を給与の3%まで」の場合、給与の3%まで拠出すれば、その全額と同額を雇用主が追加で支払います。
- Traditional 401(k)
- 拠出額が課税所得から控除され、拠出時の税負担が軽減される代わりに、退職後の受取時に所得として課税される口座タイプです。
- Roth 401(k)
- 拠出額は課税済みの所得から支払うため拠出時の税負担軽減はありませんが、一定の条件を満たせば退職後の受取(運用益を含む)が非課税になる口座タイプです。
- IRS拠出上限
- 米国内国歳入庁(IRS)が毎年見直す、401(k)への従業員拠出(elective deferral)の年間上限額です。雇用主マッチングはこの上限に含まれません。
- ベスティング
- 雇用主マッチングで積み立てられた資金が、退職・転職時に従業員本人のものとして確定する仕組みです。一定の勤続年数を満たさないと、マッチング分の一部または全額を放棄しなければならない場合があります。
よくある質問
余談ですが ― 401(k)という名前の由来
401(k)という名前は、実は制度の内容を表す固有名称ではなく、この制度の法的根拠となった米国内国歳入法(Internal Revenue Code)第401条(k)項という条文番号がそのまま定着したものです。1978年に追加されたこの条項は、当初は従業員へのボーナスの一部を延期して積み立てる仕組みを想定したものでしたが、1980年代に人事コンサルタントのテッド・ベナが「給与そのものを税制優遇された形で積み立てられる」という解釈を提案し、それが企業に広く採用されたことで現在のような退職金制度として定着しました。
当時、米国企業の退職金制度は雇用主が将来の受取額をあらかじめ保証する「確定給付型(defined benefit)」が主流でした。しかし401(k)のような「確定拠出型(defined contribution)」は、運用リスクを従業員自身が負う一方で、拠出額を自分で調整でき、転職時にも資産を持ち運びやすいという特徴があり、労働市場の流動化と相性が良かったことから急速に普及しました。今日では、多くの米国企業の退職金制度の中心的な存在になっています。
日本にも同様の制度として企業型・個人型(iDeCo)の確定拠出年金がありますが、これは1990年代に米国の401(k)を参考に検討が進められ、2001年に法制化されたものです。制度の名称は異なりますが、「税制優遇を受けながら自分で運用先を選び積み立てる」という基本的な仕組みは401(k)と共通しています。