米国老齢年金 配偶者給付(Social Security Spousal Benefit)計算ツール
米国のSocial Security配偶者給付(Spousal Benefit)を無料で試算。主たる収入者と配偶者それぞれの年収・配偶者の生年・受給開始年齢を入力すると、配偶者給付と配偶者自身の受給額のどちらが多いかを比較できます。
この計算ツールの仕組み
米国のSocial Securityには、配偶者が自身の受給資格に加えて「主たる収入者の満額受給年齢(FRA)時点のPIAの最大50%」を配偶者給付として受け取れる制度があります。配偶者給付は主たる収入者が繰下げ受給しても増額されず、配偶者が自身のFRAより前に受給を開始すると按分減額されます。
このツールは、配偶者自身の受給資格に基づく受給額(早期受給の減額・繰下げ受給の増額を含む)と、配偶者給付(主たる収入者のPIAの最大50%・配偶者のFRA前の受給に応じた減額)の両方を試算し、SSAの併給調整ルールに基づいて高い方を提示します。実際の計算には過去35年間の収入記録が必要ですが、このツールでは現在の年収を簡易的な代用値として使用します。
使い方
- 主たる収入者の年収を入力する 配偶者給付の基準となるPIAの計算に使われます。
- 配偶者自身の年収を入力する 配偶者に受給資格がない場合は0を入力すると、配偶者給付のみで試算されます。
- 配偶者の生年を入力する 配偶者給付・配偶者自身の受給額の両方に影響する満額受給年齢(FRA)が決まります。
- 配偶者の受給開始年齢を選ぶ 62歳から70歳までの間で選択し、配偶者給付と配偶者自身の受給額のどちらが有利かを確認します。
- 年齢別の一覧表で比較する 結果の下に62〜70歳すべての月額が一覧表示されるため、選択肢を一目で比較できます。
使いこなすためのヒント
- 配偶者給付は主たる収入者が繰下げ受給しても増額されないため、配偶者給付を選ぶ場合は主たる収入者の受給開始年齢を待つメリットがありません。
- 配偶者自身にも十分な収入記録があり、自身のPIAが配偶者給付(主たる収入者のPIAの50%)を上回る場合は、配偶者給付ではなく自身の受給額が適用されます。
- 配偶者給付は満額受給年齢(FRA)で申請すれば主たる収入者のPIAの50%を受け取れますが、62歳など早期に申請すると最大35%程度減額されることがあります。
- 主たる収入者本人の受給見込み額は、姉妹ツールの「米国老齢年金受給見込み額計算ツール」で確認できます。
- 離婚した元配偶者でも、婚姻期間が10年以上など一定の条件を満たせば配偶者給付を受け取れる場合があります(このツールは婚姻継続中を前提とした簡易試算です)。
こんな場面で使えます
夫婦それぞれの受給時期を調整する
主たる収入者・配偶者それぞれの受給開始年齢の組み合わせを検討する材料にします。
専業主婦(主夫)だった配偶者の受給見込みを把握する
配偶者自身の年収を0として試算し、配偶者給付だけでどの程度の受給額になるかを確認します。
配偶者給付と自身の受給額のどちらが有利か判断する
配偶者自身にも就労歴がある場合、どちらの受給額が高くなるかを年齢別に比較します。
老後の夫婦の生活費計画を立てる
主たる収入者本人の受給見込み額と合わせて、夫婦2人分のSocial Security収入の見通しを把握します。
用語集
- 配偶者給付(Spousal Benefit)
- 主たる収入者の満額受給年齢(FRA)時点のPIAの最大50%を、配偶者が受け取れる制度です。
- PIA(基礎年金額)
- 満額受給年齢(FRA)ちょうどで受給を開始した場合に受け取れる月額です。
- 満額受給年齢(FRA)
- PIAの100%を受け取れる年齢で、生年により66歳から67歳の間で決まります。
- 併給調整(Deemed Filing)
- 配偶者自身の受給資格と配偶者給付の両方がある場合、実質的に高い方の額が支給される仕組みです。
- 按分減額
- 配偶者給付をFRAより前に申請した場合に、申請時期に応じて恒久的に減額される仕組みです。
- 課税対象上限額(Wage Base)
- Social Securityの税・受給額計算に算入される年間収入の上限額(2026年は184,500ドル)です。
よくある質問
配偶者給付という仕組みが生まれた背景
配偶者給付は1939年の社会保障法改正で導入された制度です。当時は一方の配偶者(多くは夫)が生涯にわたって家計を支え、もう一方(多くは妻)が家庭内労働に専念するという世帯構成が一般的でした。自身の就労記録を持たない配偶者にも老後の収入保障を与えるため、主たる収入者の受給資格に基づく給付を用意したのがこの制度の出発点です。
現在は夫婦どちらも働くことが一般的になり、配偶者給付を利用する人の多くは、共働きではあるものの収入差が大きい世帯や、育児・介護等で就労期間が短かった配偶者です。制度自体は導入当時の姿をほぼ維持したまま、現代の多様な世帯構成にも適用されています。
配偶者給付に繰下げ増額が無い理由は、この給付が「配偶者自身の就労への対価」ではなく「世帯単位の生活保障」という位置づけであることに由来します。主たる収入者本人の給付は就労と納付の対価として繰下げにより増える一方、配偶者給付は主たる収入者のFRA時点の額で固定されるという設計上の非対称性が、この制度の性質を表しています。