営業速度(Sales Velocity)計算ツール

案件数・平均契約金額・勝率・営業サイクル日数を入力するだけで、パイプライン全体が1日あたりどれだけの収益を生み出しているか(Sales Velocity)を自動計算します。4つのレバーをそれぞれ±10%動かした場合の感応度分析も表示します。

感応度分析の具体例(案件数20件・平均契約金額100万円・勝率20%・営業サイクル30日の場合)

以下は上記の基準値をもとに、4つのレバーをそれぞれ単独で±10%動かした場合にSales Velocity(1日あたり)がどう変化するかを試算した具体例です。実際の値はツールに自社の数値を入力して確認してください。

レバー -10%動かした場合 基準値 +10%動かした場合
案件数(20件 → 18件 / 22件) ¥120,000 ¥133,333 ¥146,667
平均契約金額(100万円 → 90万円 / 110万円) ¥120,000 ¥133,333 ¥146,667
勝率(20% → 18% / 22%) ¥120,000 ¥133,333 ¥146,667
営業サイクル日数(30日 → 27日 / 33日) ¥148,148 ¥133,333 ¥121,212

※ 案件数・平均契約金額・勝率の3レバーは値が大きいほど速度が上がりますが、営業サイクル日数だけは分母のため短いほど速度が上がる逆の関係になります。

営業速度(Sales Velocity)とは

営業速度は、パイプライン全体が1日あたりどれだけの収益を生み出しているかを表す指標です。計算式は「案件数 × 平均契約金額 × 勝率 ÷ 営業サイクル日数」で、**分子の3つを増やすか、分母の営業サイクル日数を縮めるかの4つしかレバーが無い**という点がこの指標の値打ちです。売上が伸び悩むとき「案件をもっと取ってこい」と反射的に言いがちですが、実は勝率かサイクル日数のほうが効く、という判断を数字で下せます。

このツールは4項目を入力するだけで営業速度を算出し、あわせて**各レバーを±10%動かしたときの感応度分析**を表示します。同じ10%でも、どのレバーを動かすかで効果は変わりません——分子の3つは線形に効き、営業サイクル日数だけは逆数で効くため、日数を10%縮める効果は他のレバーを10%増やすより大きくなります。この非対称性が見えることが、施策の優先順位付けに直結します。

営業速度を計算する手順

  1. 案件数を入力する 現在パイプラインに残っているオープン中の商談数です。ステージの定義は社内で揃えておいてください。
  2. 平均契約金額を入力する 1件あたりの平均的な契約金額です。初年度ARRか総額かも社内で統一します。
  3. 勝率を入力する クローズした商談のうち成約した割合です。オープン中の案件は分母に含めません。
  4. 営業サイクル日数を入力する 商談の発生からクローズまでの平均日数です。失注も含めた平均を使います。
  5. 感応度分析を確認する 4つのレバーを±10%動かした場合の営業速度の変化が並び、どこに手を入れると効くかが分かります。

使いこなすためのヒント

  • 4つのレバーのうち、自社が最も改善しやすいものから着手するのが定石です。感応度分析で変化幅を比較し、優先順位を決めましょう。
  • 営業サイクル日数を10%短縮できれば、他の3レバーを10%改善するのとほぼ同じ効果(実際にはやや大きい効果)が得られます。商談の停滞を減らす施策は費用対効果が高いことが多いです。
  • 勝率は商談の質(ターゲティングの精度)を反映する指標です。案件数を増やすだけでなく、質の高い商談を集めることも速度向上につながります。
  • 月次・四半期ごとにSales Velocityを記録しておくと、営業組織全体の生産性の推移をトレンドとして可視化できます。

こんなときに役立ちます

施策の優先順位を決める

リード獲得の増強・単価アップ・商談化率の改善・サイクル短縮のうち、どれが最も効くかを数字で比べられます。

チーム間・期間で比較する

同じ式で測れば、部門ごとや四半期ごとの差がどのレバーから来ているかを分解できます。

パイプラインの健全性を点検する

案件数だけが積み上がって勝率が下がっている、といった状態を早く捉えられます。

営業目標を分解する

必要な収益から逆算して、案件数・単価・勝率・日数のどこをどれだけ動かす必要があるかを見積もれます。

営業指標の用語

営業速度(Sales Velocity)
パイプラインが1日あたりに生む収益額です。**案件数 × 平均契約金額 × 勝率 ÷ 営業サイクル日数**で求めます。
パイプライン
進行中の商談の集合です。ステージごとの金額を積み上げて管理します。
勝率(Win Rate)
クローズした商談のうち成約した割合です。**分母にオープン中の案件を入れると実態より高く出ます。**
営業サイクル日数
商談の発生からクローズまでの平均日数です。**この指標だけ逆数で効くため、短縮の効果は他より大きくなります。**
平均契約金額(ACV)
1件あたりの平均的な契約金額です。年額で揃えるか総額で揃えるかを社内で統一してください。
感応度分析
ある変数を少し動かしたとき結果がどれだけ変わるかを調べる手法です。どのレバーが効くかの判断に使います。

よくある質問

営業パイプライン全体が1日あたりどれだけの収益を生み出しているかを示す単一の指標です。案件数×平均契約金額×勝率を営業サイクル日数で割って算出します。

weighted_pipelineは商談ごとの金額×確度の期待値を個別に積み上げて合計するのに対し、Sales Velocityはパイプライン全体を案件数・平均契約金額・勝率・営業サイクル日数という4つの代表値に集約し、1日あたりの速度という単一指標で表す点が異なります。

案件数・平均契約金額・勝率は分子のため、同じ割合だけ改善すればSales Velocityへの影響はほぼ同じです。一方、営業サイクル日数は分母のため、短縮した割合よりもやや大きい割合でSales Velocityが向上する非対称な関係にあります。

勝率が0%の場合はSales Velocityも0(分子がゼロになるため)になります。案件数が0件の場合は分子がゼロになり計算できないため、本ツールでは1件以上の入力を求めています。
ツールくん

余談ですが ― 営業チームの「生産性」を単一の数字で語る指標

営業組織の生産性を語るとき、多くのチームは「今月の成約件数」や「パイプライン総額」といった個別の数値をバラバラに眺めがちです。しかしこれらの数字だけでは、案件数が多いのか・単価が高いのか・成約率が良いのか・スピードが速いのか、どの要因が実際の収益貢献を支えているのかが見えません。

Sales Velocityは、この4つの要因(案件数・平均契約金額・勝率・営業サイクル日数)を1つの式に統合し、「パイプラインが1日あたりどれだけの収益を生み出しているか」という単一の数字に集約します。SaaS企業のRevOps(Revenue Operations)担当者が四半期ごとの営業生産性のベンチマークとしてこの指標を採用するのは、複数の施策(マーケティング強化・単価アップ・トレーニングによる勝率向上・営業プロセスの効率化)を同じ物差しで比較できるためです。

本日実装した個別商談ごとの期待値の積み上げが「今のパイプラインの価値はいくらか」という静的なスナップショットを示すのに対し、Sales Velocityは「その価値をどれだけの速さで収益化できているか」という時間軸を加えた指標です。両者を組み合わせることで、パイプラインの大きさと、それを収益に変換する速度の両面から営業組織を評価できます。