連立方程式 計算機 ― 途中式つきで2〜5元を解く

連立方程式の計算機。2元・3元から5元までの連立一次方程式の係数を入れるだけで、掃き出し法(加減法)の途中式つきで解を分数のまま正確に求めます。解なし・解が無数にある場合の判定と一般解の表示、検算にも対応しています。

計算例:加減法で2元連立方程式を解く

「1個10円と1個20円の…」のような文章題でよく出る形です。片方の式を何倍かして引き、1つの文字を消すのが加減法の基本で、このツールの計算過程も同じ考え方で進みます。

式① x + y = 10
式② 2x + 4y = 26
② − ①×2 2y = 6 → y = 3
①に代入 x + 3 = 10 → x = 7
解 x = 7, y = 3

連立方程式 計算機とは

連立方程式は、2つ以上の方程式を同時に満たす文字の値を求める問題です。この計算機は、x・y の2元から x・y・z・w・v の5元までの連立一次方程式について、係数と右辺を入れるだけで解を求めます。結果は小数に丸めず分数のまま正確に表示し、どの式を何倍して引いたかという途中式(掃き出し法の各手順)もすべて並べるので、手で解いた答えの確認や、どこで計算を間違えたかの特定に使えます。

連立一次方程式の解は「ただ1組に決まる」「解が無い(不能)」「解が無数にある(不定)」の3通りのどれかになります。たとえば x + y = 2 と 2x + 2y = 5 は左辺が比例しているのに右辺が合わないため解がなく、x + y = 2 と 2x + 2y = 4 は実質的に同じ式なので解が無数にあります。このツールはこの判定も自動で行い、不定の場合は t などの文字を使った一般解を示します。扱えるのは一次式(文字の2乗や文字どうしの積を含まない式)だけで、x² や xy を含む連立方程式には対応していません。

連立方程式 計算機の使い方

  1. 未知数の数を選ぶ 「2元」〜「5元」から選びます。式の本数は未知数の数と同じになり、変数は x, y, z, w, v の順に使います。
  2. 式を ax + by = c の形に整理する 移項して文字の項を左辺、数だけの項を右辺に集めます。たとえば 3x = 5 − 2y は 3x + 2y = 5 と書き直してから入力します。
  3. 係数と右辺を入力する 引き算の項は係数を負の数にし(x − 2y なら y の係数は −2)、項が無い変数の係数には 0 を入れます。分数は 3/4、小数は 0.5 のように入れられます。
  4. 解と検算を確かめる すべての欄が埋まると、その場で解が表示されます。解を元の式に代入した左辺の値も並ぶので、右辺と一致しているかを確認できます。
  5. 計算過程をたどる 下の「計算過程」に、行の入れ替え・何倍するか・何倍して引くかの各手順と、その直後の係数の並びが順番に出ます。

使いこなすためのヒント

  • 係数に分数が出る問題は、先に両辺に分母の最小公倍数を掛けて整数にしておくと入力が楽です。もちろん 1/2 のように分数のまま入れても同じ解になります。
  • 0.1 のような小数も内部では 1/10 という分数として扱うため、浮動小数点の丸め誤差で答えがずれることはありません。
  • 計算過程は「左の列から順に、その列の係数を1つの式だけに残す」という手順で進みます。教科書の加減法とは消す順番が違うことがありますが、最終的な解は同じです。
  • グラフで交点を確かめたい2元の問題は、一次関数グラフで2本の直線を描くと、交点の座標が連立方程式の解になっていることを目で確認できます。

連立方程式 計算機が役立つ場面

中学数学の宿題・テストの答え合わせ

連立方程式は中学2年で学ぶ単元です。途中式が出るので、答えが合わないときにどの段階で係数を間違えたかを見つけられます。

個数と代金の文章題を解く

「りんごとみかんを合わせて10個買い、代金が1,000円だった」のように、合計の個数と合計金額から内訳を求める問題をそのまま式にして解けます。

3元以上の連立方程式を解く

高校・大学の線形代数や、電気回路のキルヒホッフの法則のように未知数が3つ以上になる問題は、手計算では手間がかかり間違えやすいため、検算に向いています。

混合・配合の割合を求める

濃度の違う食塩水を混ぜて目標の濃度と量にしたいとき、それぞれを何gずつ混ぜればよいかを連立方程式として求められます。

鶴亀算の考え方を式で確かめる

算数の鶴亀算は2元連立方程式と同じ構造です。面積図での解き方はつるかめ算で確認できます。

連立方程式に関する用語集

連立一次方程式
文字について一次(2乗や文字どうしの積を含まない)の方程式を複数組にしたものです。すべての式を同時に満たす文字の値の組を解といいます。
元(げん)
未知数の数のことです。x と y の2つを求めるものを2元、x・y・z の3つを求めるものを3元連立方程式と呼びます。
加減法
式を何倍かして足したり引いたりし、1つの文字を消去して解く方法です。中学校で最初に学ぶ解き方で、掃き出し法の基礎になっています。
代入法
一方の式を「x = …」の形に変形し、もう一方の式に代入して文字を減らす方法です。係数が1の文字があるときに手早く解けます。
掃き出し法(ガウス・ジョルダンの消去法)
係数を行列の形に並べ、行の入れ替え・定数倍・他の行の定数倍の足し引きを繰り返して、各列の係数を1つの行だけに残す解き方です。このツールの計算過程はこの方法で表示しています。
拡大係数行列
連立方程式の係数を並べた行列の右側に、右辺の値を1列付け加えたものです。式を書かずに数だけで変形を追えます。
不能・不定
解が1組も存在しないことを不能、解が無数にあって1組に決まらないことを不定といいます。
階数(ランク)
掃き出し法で変形したあとに残る、0でない行の数です。係数行列と拡大係数行列の階数が一致しなければ不能、一致していても未知数の数より小さければ不定になります。

よくある質問

どちらで解いても答えは同じです。係数が1や−1の文字があって「y = …」の形にしやすいときは代入法、そうでないときは加減法が計算しやすいことが多いです。3元以上になると、加減法を規則的に進める掃き出し法のほうが間違えにくくなります。

式どうしが矛盾している(左辺が比例しているのに右辺が合わない)と解なし、ある式がほかの式の組み合わせで作れてしまう(実質的に式が足りない)と解が無数にある、となります。入力の誤りでないかをまず確かめ、問題どおりであれば、それがその連立方程式の答えです。

はい。係数・右辺には 3/4 のような分数や 0.25 のような小数をそのまま入力できます。内部ではすべて分数として正確に計算するため、答えも約分された分数で表示され、整数でない場合は小数の近似値も添えます。

このツールは一次式だけを扱うため、x² のような2乗の項や xy のような文字どうしの積を含む連立方程式(連立二次方程式など)には対応していません。一次式に直せる場合は、先に式を整理してから入力してください。

このツールは式の本数と未知数の数を同じにしています。式が足りない場合は、残りの式の係数と右辺をすべて0にした行を入れると、「解が無数にある」として一般解を求められます。式が多すぎる場合は、未知数と同じ数の式を選んで解き、残りの式に代入して成り立つかを確かめてください。
ツールくん

余談ですが ― 2000年前の中国から関孝和、そしてガウスへ

連立一次方程式を係数の並びだけで解く方法は、驚くほど古くから知られています。中国の数学書『九章算術』(紀元1世紀頃までに成立したとされます)の第8章「方程」には、算木を盤上に縦に並べ、列どうしを何倍かして引き合うことで未知数を消していく手順が記されています。これは現在の掃き出し法とほぼ同じ考え方で、しかも計算の途中で負の数が現れることを前提にした規則まで書かれていました。

日本では江戸時代の和算家・関孝和が、1683年の著作『解伏題之法』で、方程式から文字を消去する過程で現れる式を整理し、今日の行列式にあたる概念を扱っています。4次以上の場合には誤りも含まれていましたが、ヨーロッパでライプニッツが同様の考えを書簡に記したのは1693年(草稿は1678年ごろとする見方もあります)で、関孝和はヨーロッパとは独立に、ほぼ同時期かそれより早くこの考えにたどり着いていたことになります。

「ガウスの消去法」という名前は、数学者ガウスが19世紀初め、小惑星パラスの軌道計算などで最小二乗法の連立方程式を解く際に、消去の手順を整理する独自の記法を考案し、それが後の計算の専門家たちに広まったことに由来します。もっとも、ガウス自身はこの方法を「ありふれた消去法(eliminatio vulgaris)」と呼んでおり、発明者というわけではありません。1923年の時点でもまだガウスの名では呼ばれておらず、この呼び名が定着したのは20世紀に入ってからのことです。

いまでは数千・数万の未知数を持つ連立方程式が、天気予報や構造物の強度計算、画像処理などで日常的にコンピュータによって解かれています。ただし、その中心にある「1つずつ文字を消していく」という発想は、中学校で学ぶ加減法から少しも変わっていません。