イタリア給与手取り計算(Calcolo Stipendio Netto)
イタリアの額面年収(stipendio lordo)と年間給与支給回数(13次給与/14次給与)を入力すると、INPS社会保険料とIRPEF(所得税)・地方税を差し引いた手取り額(stipendio netto)を無料で自動計算します。
イタリア給与手取り計算(Calcolo Stipendio Netto)とは
このツールは、イタリアの額面年収(Retribuzione Annua Lorda)から被雇用者負担分のINPS社会保険料を差し引き、続いて全国共通の3段階累進税率によるIRPEF(所得税)の源泉徴収を行い、さらに州税・市町村税を加味することで、実際の手取り額を試算します。
「額面の何割が手取り」という単純な目安ではなく、年収15,000ユーロを境に定額から逓減式へ切り替わる給与所得控除の段差、年収20,000〜40,000ユーロで作用する追加控除、そして低所得層の手取りを底上げする還付的控除(trattamento integrativo)まで反映しています。さらに、イタリアの企業が実際に採用している13回または14回の年間支給回数に応じて、1回あたりの手取り額を算出できます。
この計算に使っている基準
税率・保険料率などの法定の値は、次の公的機関が公表しているものを使用しています。制度改正により変わることがあるため、重要な判断をされる際は一次情報もあわせてご確認ください。
- イタリアIRPEF(所得税)累進税率・INPS被用者負担率 — イタリア歳入庁(Agenzia delle Entrate) 2026-01〜2026-12 適用 / 最終確認 2026-10-17
- イタリアの被雇用者向け税負担軽減(cuneo fiscale) — イタリア法令ポータル(Normattiva) 2025-01 以降適用 / 最終確認 2026-10-18
- イタリアの給与所得控除の65ユーロ加算(TUIR第13条第1.1項) — イタリア法令ポータル(Normattiva) 2022-01〜2026-12 適用 / 最終確認 2026-10-18
イタリア手取り計算の使い方
- 額面年収を入力する ユーロ建ての額面年収を直接入力するか、スライダーで調整します。
- 年間の支給回数を選ぶ 13回払いが法律上の最低ラインです。銀行・保険業界など一部業種では14回払い(quattordicesima込み)も選べます。
- 試算結果を確認する INPS社会保険料の内訳、IRPEF税額の内訳、1回あたりの最終手取り額がその場で表示されます。
使いこなすためのヒント
- 給与所得控除(detrazione per lavoro dipendente)は年収15,000ユーロちょうどを境に、定額1,955ユーロから逓減式(15,000ユーロ超で3,100ユーロ)へ切り替わる特徴的な段差があります。
- 中間所得層向け追加控除(ulteriore detrazione)は年収20,000ユーロ超〜32,000ユーロ以下で定額1,000ユーロが適用され、40,000ユーロに向けて段階的に減少します。
- 低所得層向け還付的控除(trattamento integrativo)は年収15,000ユーロ以下の被雇用者に最大1,200ユーロが上乗せされますが、給与所得控除だけで税額が0円になる非常に低い年収では対象外になります。
- 州税・市町村税は居住地によって年に数百ユーロ単位で手取りに差が出るため、正確な金額は居住する州・市町村の税率表を確認することをおすすめします。
- イタリアの多くの企業は額面年収を13回(tredicesima込み)または14回(quattordicesimaも込み)に分けて支給するため、日本の「月給×12+賞与」とは支給スケジュールの考え方が異なります。
こんなときに使えます
イタリアの転職オファーを比較する
額面年収(RAL)が異なる2つのオファーを比較するとき、このツールで1回あたりの実際の手取り額を並べて確認できます。
イタリアへの赴任・移住を検討する
外国から働きに来る人が、額面年収の交渉を始める前に、月あたりの手取り額のイメージをつかむのに役立ちます。
給与明細(busta paga)の内訳を理解する
額面がINPS社会保険料・IRPEF・州税/市町村税によって段階的に減っていく様子を、実際のイタリアの給与明細と同じ構成で確認できます。
給与明細の用語集
- トレディチェージマ(Tredicesima)
- 法律で義務づけられた「13次給与」。多くの場合12月に支給され、12回の通常月給に加えて額面1か月分に相当する追加給与です。
- クアトルディチェージマ(Quattordicesima)
- 任意で支給される「14次給与」。多くの場合6月または7月に支給され、銀行・保険業界や一部の労働協約(CCNL)で採用されています。
- INPS
- Istituto Nazionale della Previdenza Sociale(イタリア国民社会保障機構)の略称。年金・失業給付・傷病手当を一元的に管理する公的機関です。
- IRPEF
- Imposta sul Reddito delle Persone Fisiche(個人所得税)の略称。2026年予算法以降、23%・33%・43%の3段階累進税率で計算されます。
- 州税・市町村税(Addizionale regionale / comunale)
- 全国共通のIRPEFに上乗せされる地方税です。税率はイタリア国内20の州と各市町村がそれぞれ独自に定めており、市町村税には0.8%という法定上限があります。
- 還付的控除(Trattamento integrativo)
- 課税所得が低い被雇用者を対象に、年間最大1,200ユーロが還付される税額控除です。2020年に導入され、前身の制度を導入した政権にちなんで「レンツィ・ボーナス」と俗称されることもあります。
よくある質問
余談ですが ― イタリアの「13次給与」と地方税の複雑さ
イタリアの給与体系で特徴的なのが「13次給与(tredicesima mensilità)」です。これは12か月分の月給に加えて、多くの場合12月に支給される「もう1か月分」の給与で、日本の冬季賞与に近い役割を果たしますが、法律で支給が義務付けられている点が異なります。さらに銀行・保険業界など一部の業種では「14次給与(quattordicesima mensilità)」も夏季に支給され、年間の総支給回数が14回になります。
イタリアの所得税(IRPEF)は国税に加えて、20の州(Regione)と各市町村(Comune)がそれぞれ独自の付加税(addizionale regionale・addizionale comunale)を課す多層構造を持っています。州税は財政再建計画(piano di rientro sanitario)を抱える州ほど高くなる傾向があり、南部の州は北部・中部の州より高めの税率になることが知られています。
INPS(Istituto Nazionale della Previdenza Sociale、イタリア国民社会保障機構)は年金・失業保険・傷病手当等を一元的に管理する公的機関で、被雇用者は額面給与の約9.19%を毎月天引きされます。日本の厚生年金・雇用保険に相当する複数の制度が1つの機構に統合されている点が特徴です。