ブラジル有給休暇手当計算(Cálculo de Férias CLT)
ブラジルの有給休暇(Férias)手当を、月額基本給・欠勤日数・abono pecuniário(金銭換算)希望日数から自動計算します。CLT第130条の権利日数区分と1/3の憲法加算を反映します。
CLT第130条 欠勤日数別・有給休暇の権利日数早見表
権利発生期間(12か月)中の無断欠勤日数に応じて、有給休暇の権利日数とabono pecuniárioとして換算できる最大日数が変わります。
| 欠勤日数 | 権利日数 | 換算可能な最大日数 |
|---|---|---|
| 0–5日 | 30 | 10 |
| 6–14日 | 24 | 8 |
| 15–23日 | 18 | 6 |
| 24–32日 | 12 | 4 |
| 33+日 | 0 | 0 |
欠勤日数が33日以上になると、有給休暇の権利そのものを失います(権利日数0日)。
ブラジルの有給休暇手当(Férias)とは
ブラジルの労働法CLT(Consolidação das Leis do Trabalho)は、雇用契約が12か月続くごとに、原則30日間の有給休暇(férias)を従業員に付与することを義務付けています。ただしこの30日は無条件ではなく、その12か月間(権利発生期間、período aquisitivo)における無断欠勤の日数に応じて、CLT第130条が30日・24日・18日・12日・0日の4段階+権利喪失に区分しています。さらに1988年憲法第7条XVII項により、休暇中の給与には通常給与の少なくとも1/3を上乗せする「terço constitucional(1/3の憲法加算)」の支払いが義務付けられています。
このツールは、月額基本給と欠勤日数を入力するだけで、CLT第130条に基づく権利日数を判定し、1/3の憲法加算を反映した休暇手当の受取見込み額を計算します。さらに、休暇の一部を取得せず金銭で受け取る「abono pecuniário」(CLT第143条、権利日数の最大1/3まで換算可能)を選択した場合の内訳も同時に表示するため、休暇取得分と金銭換算分の配分による違いを具体的に確認できます。
この計算に使っている基準
税率・保険料率などの法定の値は、次の公的機関が公表しているものを使用しています。制度改正により変わることがあるため、重要な判断をされる際は一次情報もあわせてご確認ください。
- ブラジル有給休暇(Férias)の権利日数・1/3加算規定 — ブラジル連邦法令ポータル(Planalto) 1988-10 以降適用 / 最終確認 2026-09-07
有給休暇手当計算の使い方
- 月額基本給を入力する 税・社会保険料控除前の月額基本給(レアル)を入力します。
- 権利発生期間中の欠勤日数を入力する 直近12か月における無断欠勤の日数です。日数が多いほど有給休暇の権利日数が段階的に減ります。
- 金銭換算(abono pecuniário)を希望する日数を入力する 休暇を取らずに金銭で受け取りたい日数です。0のままにすると全日数を休暇として取得する前提で計算します。
- 受取見込み額の内訳を確認する 休暇取得分・abono pecuniário分それぞれの基本給相当額と1/3加算額、受取見込み総額が表示されます。
使いこなすためのヒント
- 権利発生期間中の欠勤日数は、有給休暇の権利日数だけでなく、abono pecuniárioとして換算できる最大日数(権利日数の1/3)にも影響します。欠勤が多いほど、換算できる日数自体も減ります。
- 休暇取得分とabono pecuniário分のどちらにも同じ1/3加算が適用されるため、内訳を変えても受取見込み総額は変わりません。純粋にキャッシュのタイミングと休暇日数のどちらを優先するかの選択になります。
- abono pecuniárioの請求は、権利発生期間の終了日の15日前が締め切りです。休暇に入る直前に慌てて決める性質のものではありません。
- このツールは月額基本給のみを対象とし、賞与・手当・平均残業代など給与の変動要素は含めていません。実際の受取額はこれらを踏まえた雇用主の計算と異なる場合があります。
- このツールが計算するのは額面(総支給額)です。実際の手取り額はINSS・IRRFの源泉徴収を経て決まるため、給与明細(recibo de férias)の手取り欄とは一致しない点に注意してください。
こんなときに使えます
休暇取得前に受取額を事前に確認したい
有給休暇に入る前に、給与明細(recibo de férias)に記載される予定の金額をおおまかに把握できます。
abono pecuniárioを選ぶべきか判断したい
休暇を全日数取得する場合と、一部を金銭換算した場合とで、受取見込み総額に差が出るかどうかを比較できます(1/3加算はどちらの配分でも同じ割合で受けられるため、総額自体は変わりません)。
欠勤が多かった年の権利日数への影響を知りたい
無断欠勤が続くと権利日数が段階的に減っていく仕組みを、実際の日数を入れて確認できます。
人事・経理担当者が概算を素早く出したい
複数の従業員パターンを入力し直すだけで、休暇手当の額面をすばやく試算できます。
用語集
- Férias(有給休暇)
- ブラジルの労働法CLTが定める、雇用契約が12か月継続するごとに付与される有給の休暇制度です。原則30日間ですが、権利発生期間中の欠勤日数に応じて日数が減ることがあります。
- 権利発生期間(período aquisitivo)
- 有給休暇の権利日数を判定する基準となる12か月間です。この期間中の無断欠勤の日数によって、CLT第130条に基づく権利日数(30/24/18/12/0日)が決まります。
- 1/3の憲法加算(terço constitucional)
- 1988年憲法第7条XVII項が義務付ける、休暇中の給与に通常給与の少なくとも1/3を上乗せする制度です。休暇として取得する分だけでなく、abono pecuniárioとして金銭換算した分にも同じ割合で適用されます。
- abono pecuniário(休暇の金銭換算)
- CLT第143条に基づき、有給休暇の権利日数のうち最大1/3を、休暇として取得せず金銭で受け取れる制度です。権利発生期間の終了日の15日前までに雇用主へ請求する必要があります。
- CLT(労働法統合令)
- Consolidação das Leis do Trabalho の略称で、ブラジルの労働関係を包括的に定める法律です。有給休暇の権利日数・1/3加算・金銭換算の各制度はいずれもCLTと1988年憲法に根拠があります。
よくある質問
余談ですが ― なぜブラジルの有給休暇には1/3もの上乗せがあるのか
ブラジルの有給休暇に通常給与の1/3を上乗せする「terço constitucional」は、1988年に制定された現行憲法で初めて明文化された比較的新しい制度です。それ以前のCLT(1943年制定)にはこの上乗せの規定がなく、単に休暇中も通常どおりの給与を支払うことだけが義務でした。1988年憲法の起草にあたり、労働者の休暇取得を実質的に後押しする狙いから、単なる「休んでも給料は減らない」という保障を超えて、休暇にはボーナス的な価値を持たせるべきだという議論が採用され、世界的にも珍しい「休暇そのものに割増賃金が付く」制度が生まれました。
abono pecuniário(休暇の金銭換算)の上限が「権利日数の1/3」に設定されているのも、単なる思いつきではありません。仮に上限が無ければ、従業員が休暇のほとんどを金銭に換算してしまい、制度が本来目指す「労働者に実際に休息を取らせる」という趣旨が骨抜きになってしまいます。1/3という数字は、ある程度の柔軟性(急な出費への対応など)を認めつつも、大部分の休暇日数は実際に休むことを促す、いわば妥協点として設計されています。
興味深いのは、権利発生期間中の欠勤日数による権利日数の段階的な減少(CLT第130条)が、1943年のCLT制定当初からほとんど変わらず維持され続けている点です。数十年にわたり労働法制が幾度も改正されてきた中でも、30日・24日・18日・12日という区分の刻み方だけは一貫しており、ブラジルの労働慣行における「勤怠の良さが休暇日数に直結する」という考え方の根強さを物語っています。