イギリス自営業者手取り計算(UK Self-Employed Tax Calculator)
イギリスの自営業者(ソール・トレーダー)向けに、年間売上と必要経費から所得税・Class 4国民保険料を差し引いた手取り額を無料で試算。少額事業所得控除(Trading Allowance)の有利判定にも対応。
イギリス自営業者の税金とは
イギリスの自営業者(Sole Trader)は、会社員のようにPAYE(Pay As You Earn)で毎月の給与から所得税・国民保険料が天引きされるのではなく、年に一度のSelf Assessment(確定申告)で自ら税額を計算し、HM Revenue and Customs(HMRC)へ納付します。課税の対象になるのは売上そのものではなく、売上から必要経費を差し引いた「事業所得(Profit)」である点が、会社員の給与所得税とは大きく異なります。
国民保険料についても、自営業者は会社員が納めるClass 1ではなく、事業所得の水準に応じたClass 4国民保険料を納めます。かつて存在した定額のClass 2国民保険料は2024年4月に廃止され、現在は利益がLower Profits Limitを超える自営業者にはClass 4のみが課されます。本ツールは年間売上・必要経費・課税地域(スコットランドか否か)を入力するだけで、これらの制度をまとめて反映した手取り額の目安を試算します。
使い方
- 年間売上を入力する 税抜きの年間売上(Turnover)を入力します。
- 必要経費を入力する 仕入・交通費・機材費など、事業のために支出した経費の年間合計を入力します。
- 課税地域を選ぶ スコットランド在住かどうかで所得税の税率帯が変わります。
- 結果を確認する 税務上の事業所得・所得税・Class 4国民保険料が自動計算され、手取り額が表示されます。
使いこなすためのヒント
- 実費経費が£1,000を超える場合は、実費経費をそのまま差し引いたほうがTrading Allowanceより有利になるのが一般的です。本ツールは両方を比較して有利な方を自動的に採用します。
- 事業所得が£100,000〜£125,140の範囲にある場合、追加で稼いだ£1ごとに税金と基礎控除の逓減を合わせて実質60ペンスが失われます。本ツールはこの区間を自動的に反映します。
- スコットランド所得税は所得税額のみに影響し、Class 4国民保険料のルールは英国の他地域と全く同じです。
- 複数の事業や副業からの所得を合算して申告する必要がある場合、Trading Allowanceは合計の事業所得に対して1回だけ適用される点に注意してください。
- 本ツールは概算です。実際のSelf Assessmentでは、確定拠出年金の拠出・損失の繰越・資本的支出(Capital Allowances)等、個別の事情によって納税額が変わる場合があります。
自営業者向け税金の関連用語
- スコットランド所得税
- スコットランド議会が独自に定める所得税の税率帯。イングランド・ウェールズ・北アイルランドの3段階(20%/40%/45%)とは異なり、6段階(19%/20%/21%/42%/45%/48%)の税率が適用されます。国民保険料の制度は英国全土で共通です。
- 必要経費(Allowable Expenses)
- 事業を行うために直接必要となった支出のことで、税務上の事業所得を計算する際に売上から差し引くことができます。仕入れ費用・事業用の交通費・機材費・広告費などが該当し、私的な支出は含まれません。
- 実際の儲け
- 年間売上から実費の必要経費を差し引いた、手元に残る実際の現金ベースの儲けです。税務上の事業所得(Trading Allowanceを使った場合など)とは異なる場合があります。
- 税務上の事業所得(Taxable Profit)
- 所得税・国民保険料の計算対象になる金額で、売上から「実費の必要経費」と「Trading Allowance(定額£1,000)」のうち大きい方を差し引いて求めます。
- 基礎控除(Personal Allowance)
- イギリスの所得税で誰もが原則として適用される非課税枠(2026/27年度は£12,570)。所得が£100,000を超えると2ポンドにつき1ポンドの割合で逓減し、£125,140でゼロになります。
- Class 4国民保険料(Class 4 National Insurance)
- 自営業者の事業所得に応じて課される国民保険料。Lower Profits Limit(£12,570)からUpper Profits Limit(£50,270)までは6%、それを超えると2%が適用されます。会社員が納めるClass 1とは税率・起算点が異なります。
よくある質問
余談ですが ― なぜイギリスの自営業者はClass 2国民保険料を払わなくてよくなったのですか?
2024年4月まで、イギリスの自営業者は利益水準にかかわらず週あたり数ポンドの定額のClass 2国民保険料を納める義務がありました。これは主に国家年金や一部の給付の受給資格を得るための拠出という位置づけでしたが、事務手続きが煩雑であるという指摘が長年寄せられていました。2024年度予算でこの定額拠出義務が廃止され、利益がLower Profits Limitを超える自営業者は、追加の支払いなしに国家年金の納付実績を得られるようになりました。
一方でClass 4国民保険料の税率も同時期に見直され、2023/24年度の9%から2024/25年度には6%へ引き下げられました。これは自営業者の実質的な負担を軽減する目的で行われた改革で、会社員のClass 1国民保険料(起算点〜上限額の間で8%)と比べると、同じ所得水準でも自営業者のほうが低い税率が適用される仕組みになっています。これは自営業者が有給休暇や雇用主の年金拠出といった会社員向けの手当を受けられないことに対する一定のバランスとして説明されることがあります。
Trading Allowance(少額事業所得控除)も、もともとは「趣味の延長のような小さな副業収入にまで確定申告の手続きを強いるべきではない」という考えから2017年に導入された制度です。年間売上が£1,000以下であれば申告不要になる場合があり、フリマアプリでの副収入やちょっとした副業を持つ人にとって身近な制度になっています。