SEP IRA拠出額計算ツール(自営業者・小規模事業主向け)

自営業者の年間純利益、またはW-2報酬額を入力すると、米国のSEP IRA(自営業者・小規模事業主向け退職口座)への最大拠出可能額を試算します。自営業者本人分は実効20%、給与ベースは25%で計算します。

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SEP IRAとは

SEP IRA(Simplified Employee Pension IRA)は、自営業者や従業員数の少ない中小企業向けに設計された米国の退職口座です。通常のIRA(Traditional IRA / Roth IRA)よりもはるかに大きな金額を拠出できるのが特徴で、拠出は雇用主(自営業者の場合は本人)のみが行い、従業員が自己負担で拠出することはできません。

拠出上限の算定方法は「報酬の25%、ただし年間上限額まで」というシンプルな式ですが、自営業者本人分の拠出だけは事情が異なります。拠出額そのものが拠出の基礎となる事業所得を減らしてしまう循環参照が生じるため、IRSは実効拠出率を20%とする簡易な計算式を公式に案内しています。本ツールは、自営業者(個人事業主)と、会社員・役員(W-2報酬を受け取る立場)の両方のケースに対応し、最大拠出可能額を試算します。

使い方

  1. 拠出者タイプを選ぶ 自営業者(個人事業主)として拠出するか、会社員・役員としてW-2報酬をベースに拠出するかを選びます
  2. 自営業者の場合は年間純利益を入力する Schedule C(事業所得の確定申告書類)に記載する、経費控除後の年間純利益を入力します
  3. 今年すでに得たW-2給与があれば入力する 自営業以外の給与収入がある場合、社会保障税の課税上限の残り枠を正しく試算するために使います
  4. 会社員・役員の場合は年間W-2報酬額を入力する 会社(法人)から支払われる給与額を入力します。25%の拠出上限の基礎になります

使いこなすためのヒント

  • SEP IRAへの拠出は雇用主のみが行えます。自営業者本人であっても、従業員としての立場で追加の自己負担拠出をすることはできません。
  • 複数の勤務先でも401(k)等に加入している場合、年間上限額(2026年は$72,000)は口座の種類を超えて合算で管理されるため、拠出しすぎないよう注意してください。
  • SEP IRAの拠出期限は、その年の12月31日ではなく、延長を含む確定申告期限(最長で翌年10月中旬)までと、通常のIRAより長い点が特徴です。
  • 本ツールの計算は簡易的な試算です。正確な拠出可能額は、税理士や公認会計士による確認、またはIRS Publication 560の最新版でのワークシート計算をおすすめします。

活用シーン

個人事業主として退職資金の非課税拠出枠を最大化する

通常のIRAより大きな拠出枠を活用し、事業所得に対する所得控除を増やす検討材料になります

法人化(S-corp等)した場合の会社拠出額を試算する

自分自身に給与(W-2報酬)を支払う形態に法人化した場合、会社として拠出できる金額の目安を確認できます

401(k)・通常のIRAと組み合わせた退職資金計画を立てる

money.wealth.401k_calculator・money.wealth.ira_calculatorと組み合わせて、複数の退職口座を持つ場合の拠出戦略を検討できます

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用語集

SEP IRA
Simplified Employee Pension IRAの略で、自営業者・小規模事業主向けに設計された退職口座です。雇用主のみが拠出でき、通常のIRAよりも大幅に大きな金額を拠出できます。
自営業者税(Self-Employment Tax)
自営業者が負担する社会保障税・メディケア税の総称です。通常の給与所得者は雇用主と折半しますが、自営業者は両方分(合計15.3%)を自己負担します。
92.35%調整
自営業者税の課税対象額を計算する際、事業純利益に掛ける係数です。雇用主負担相当分をあらかじめ課税対象から除くための調整です。
実効拠出率(20%)
自営業者本人分のSEP IRA拠出額は、本来25%が上限ですが、拠出額自体が拠出の基礎となる所得を減らす循環関係にあるため、循環を解いた実効値である20%を純益に掛けて計算します。
年間上限額
SEP IRAへ拠出できる金額には、報酬の25%とは別に、年ごとに見直される絶対的な上限額(2026年は$72,000)が設けられています。
報酬上限額
25%の拠出上限を計算する基礎となる報酬額には上限(2026年は$360,000)があり、これを超える報酬部分は拠出上限の計算に使えません。

よくある質問

SEP IRAは雇用主(自営業者の場合は本人)のみが拠出でき、拠出上限も報酬に連動して大幅に大きくなります(2026年は最大$72,000)。一方、通常のIRA(Traditional/Roth)は個人が拠出し、上限は$7,500〜$8,600程度に留まります。

拠出額自体が拠出の基礎となる事業所得(純利益)を減らしてしまうため、25%をそのまま純利益に掛けると計算が循環してしまいます。IRSはこの循環を解いた実効値である20%を純利益(自営業者税調整後)に掛ける簡易計算式を案内しています。

はい、口座の種類ごとに拠出上限が別に管理されているため、条件を満たせば複数の退職口座を併用できます。ただし、複数のSEP IRA口座を持つ場合、拠出上限は合算で管理される点に注意してください。

SEP IRAでは、事業主が自分自身に拠出する割合と同じ割合を、要件を満たす全従業員にも拠出しなければなりません。特定の従業員だけを優遇することはできない点が、SEP IRA制度の重要な制約です。
ツールくん

余談ですが ― 「簡易な」制度という名の複雑さ

SEP IRAの正式名称Simplified Employee Pension(簡易な従業員年金)は、1978年に歳入法が制定された当時、既存の企業年金制度(確定給付型年金等)に比べて事務負担が圧倒的に軽いことから名付けられました。実際、SEP IRAは複雑な年次申告書類の提出が不要で、金融機関所定のフォーム1枚で設立できるため、小規模事業主にとっては今なお「簡易」な選択肢です。

ただし、拠出上限の計算方法だけは例外的に複雑です。自営業者本人分の拠出は、拠出額そのものが拠出の基礎となる所得を減らすという循環参照を含むため、IRS公式のワークシートを使わないと正確な金額を出しにくいという皮肉な状況になっています。実効拠出率が25%ではなく20%になるのは、この循環を代数的に解いた結果であり、専門的な文書1冊を割いて説明されるほどの分かりにくさです。

日本の類似制度としては、小規模企業共済や国民年金基金が挙げられます。いずれも自営業者・小規模事業主の退職後の備えを支援する制度ですが、拠出上限の算定方法は所得に連動する米国式ほど複雑ではなく、定額・定率のシンプルな仕組みが採用されている点が対照的です。

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