イギリス配当税・手取り計算(UK Dividend Tax Calculator)
イギリスの会社経営者(Limited Company director)向けに、役員給与と配当の組み合わせから所得税・国民保険料・配当税を差し引いた手取り額を無料で試算。Dividend Allowanceの適用にも対応。
イギリスの配当税とは
イギリスで自身のLimited Companyを経営する人の多くは、会社から役員報酬(給与)だけを受け取るのではなく、会社の利益から配当(Dividend)としても資金を引き出します。配当には給与とは別体系の税制が適用され、まず年間£500までの配当が非課税になるDividend Allowanceがあり、それを超えた配当には所得の水準に応じて8.75%・33.75%・39.35%のいずれかの配当税率が課されます。
配当税と国民保険料の大きな違いは、配当にはClass 1国民保険料が一切課されない点です。このため、低めの役員給与(基礎控除近辺に設定することが多い)と配当を組み合わせる方法は、同額を全額給与として受け取る場合に比べて国民保険料の負担を抑えられる仕組みとして広く利用されています。
使い方
- 年間役員給与を入力する 会社から役員報酬として受け取る年間給与額を入力します。
- 年間配当を入力する 会社の利益から配当として受け取る年間の金額を入力します。
- 課税地域を選ぶ スコットランド在住かどうかで給与部分の所得税の税率帯が変わります(配当税率は変わりません)。
- 結果を確認する 基礎控除・Dividend Allowanceの適用状況と、所得税・国民保険料・配当税を差し引いた手取り額が自動計算されます。
使いこなすためのヒント
- 役員給与を基礎控除(£12,570)程度に抑えると、給与部分の所得税がほぼゼロになり、国民保険料もわずかで済む一方、国家年金の納付実績を得られる水準を維持できます。
- 基礎控除は給与に優先的に使われるため、給与が基礎控除を下回っている場合、残った基礎控除分は配当にも適用され配当税がさらに軽減されます。
- 総所得(給与+配当)が£100,000を超えると基礎控除が逓減し始めるため、配当を増やしすぎると意図せず高い実効税率になる場合があります。
- Dividend Allowance(£500)は毎年使い切らないと繰り越せません。配当を複数年に分けて受け取れる場合は、この非課税枠を毎年活用するほうが有利です。
- 本ツールは個人の所得税・国民保険料のみの試算です。会社側の法人税や分配可能利益の確認については別途会計士等に相談してください。
配当税・役員給与の関連用語
- スコットランド所得税
- スコットランド議会が独自に定める所得税の税率帯(6段階: 19%/20%/21%/42%/45%/48%)。給与などの非配当所得にのみ適用され、配当税の税率帯には影響しません。
- 役員給与(Director's Salary)
- 会社の取締役(director)が、従業員としての雇用契約に基づき会社から受け取る報酬です。PAYEを通じて所得税・国民保険料が計算されます。
- 配当(Dividend)
- 会社が法人税を支払った後の利益(分配可能利益)から、株主に対して支払う分配金です。役員が自社の株主でもある場合、配当として資金を引き出すことができます。
- 配当の非課税枠(Dividend Allowance)
- 年間の配当のうち一定額(2026/27年度は£500)を非課税にする制度です。基礎控除とは別枠で、配当にのみ適用されます。
- 課税対象の配当額
- 基礎控除・Dividend Allowanceの両方を使い切った後、実際に配当税率(8.75%/33.75%/39.35%)が適用される配当の金額です。
- 基礎控除(Personal Allowance)
- イギリスの所得税で誰もが原則として適用される非課税枠(2026/27年度は£12,570)。給与・配当を合算した総所得が£100,000を超えると逓減します。
- Class 1国民保険料(Class 1 National Insurance)
- 雇用による給与所得にのみ課される国民保険料です。配当には課されません。起算点(£12,570)からUpper Earnings Limit(£50,270)までは8%、それを超えると2%が適用されます。
よくある質問
余談ですが ― なぜ「低額給与+配当」がイギリスで定番の節税策なのですか?
イギリスでは、Limited Companyの経営者が会社から資金を引き出す方法として、役員報酬(給与)と配当のどちらを選ぶかによって税負担が大きく変わります。給与にはPAYE(Pay As You Earn)による所得税に加えて、雇用主・従業員の双方に国民保険料が課されますが、配当には国民保険料が一切課されません。このため、多くの一人会社の経営者は、国家年金の納付実績を維持できる程度の低い給与(基礎控除に近い水準)を設定し、残りの利益を配当として受け取る方法を選びます。
ただしこの方法には注意点もあります。配当を出すには会社に十分な分配可能利益(法人税を支払った後の利益)が必要で、利益が不足している状態で配当を出すと「違法配当(Unlawful Dividend)」として後から取り消しを求められる可能性があります。また、配当は法人税を支払った後の利益から出されるため、会社全体で見ると法人税(Corporation Tax)と配当税の両方が課される点も、単純な所得税の比較だけでは見えてこない部分です。
イギリス政府は過去数年、給与と配当の税負担の差を縮める方向で制度を見直してきました。Dividend Allowanceは2018年度の£5,000から段階的に引き下げられ、2024年度には£500まで縮小されています。これは、雇用による所得と自営・会社経営による所得の間の税制上の公平性を高める目的があるとされています。