米国貯蓄国債(I Bond/Series EE Bond)利回り計算ツール
米国財務省発行の貯蓄国債(Series I Bond・Series EE Bond)の将来価値を計算する無料ツール。購入額・金利を入力すると、積立額・解約時の受取額・早期解約ペナルティを試算できます。
米国貯蓄国債(I Bond/Series EE Bond)計算ツールとは
米国貯蓄国債は、市場で売買されるのではなく米国財務省が個人投資家に直接発行する低リスクの証券です。Series I Bond(I Bond)は、生涯変わらない固定金利と、半年ごとに改定されるインフレ連動金利を組み合わせた「複合金利」で運用され、インフレに応じて実質価値を保つ設計になっています。一方Series EE Bondは単一の固定金利のみですが、財務省が「購入から20年で購入額の2倍になることを保証する」という特徴的な仕組みを持ち、通常の複利計算だけでは2倍に届かない場合は一括で残高を上乗せします。
本ツールは、指定した保有期間におけるどちらの国債の積立額・受取額も試算し、初めて購入する人が意外と見落としやすい2つのルールを反映します。1つは購入から12か月間は一切解約できないこと、もう1つは5年未満で解約すると直近3か月分の利息が没収されることです。実際のI Bondの金利は半年ごとに変わるため、本ツールの試算はあくまで仕組みを理解するための概算であり、特定の国債の将来価値を正確に予測するものではない点に注意してください。
米国貯蓄国債計算ツールの使い方
- 国債の種類を選ぶ インフレに連動するSeries Iか、20年で2倍になる保証のある固定金利のSeries EEを選びます。
- 購入額を入力する 電子国債の購入(予定)金額を入力します。
- 固定金利を入力する 発行時に財務省が発表した金利です。国債の全期間を通じて変わりません。
- I Bondの場合は半年ごとのインフレ連動金利も入力する 現在のインフレ連動部分の金利で、本ツールでは以降の半年ごとの期間も一定と仮定します。
- 保有期間を設定する 1〜30年の範囲で保有予定年数を選ぶと、積立額・受取額・保有期間別の一覧表が表示されます。
使いこなすためのヒント
- 5年以内に解約する予定がある場合は、目標の解約日とその3か月前の両方の積立額を確認してみましょう。その差額がそのまま早期解約ペナルティのコストになります。
- I Bondの金利は半年ごとに改定されるため、数年前に購入した国債は本ツールが仮定する単一の金利とは異なる複合金利で運用されている可能性が高いです。既存の国債の正確な現在価値はTreasuryDirect公式の計算ツールで確認しましょう。
- 20年で2倍になる保証を重視するならSeries EEの方が予測しやすく、物価上昇への対応を重視するならI Bondの方がインフレヘッジとして優れています。
- TreasuryDirectで購入する電子式のI BondやSeries EEは、最低25ドルから1セント単位で自由な金額を購入できます。旧来の紙の国債のように50ドル・100ドル単位で購入する必要はありません。
- いずれの国債も30年経過後は一切利息が付かなくなるため、最終満期を過ぎたまま放置してしまうと、対応する利回りが得られないままインフレによって実質的な購買力だけが静かに失われていきます。
こんなときに使えます
5年のペナルティ期間を過ぎるタイミングを見極める
保有期間ごとに積立額と受取額を比較すると、早期解約時に没収される3か月分の利息が具体的にどれくらいの金額になるかが分かります。
現在の金利でI Bondがどこまで成長するか試算する
現在の複合金利がそのまま続いた場合の成長を見積もれます。ただし実際の金利は半年ごとに改定される点を忘れないようにしましょう。
Series EEが2倍保証に向けて順調かを確認する
20年で2倍になる仕組みのうち、通常の複利でどこまで届き、財務省による一括上乗せがどれだけ必要になるかを把握できます。
I BondとSeries EEを同じ条件で比較する
同じ購入額のまま2種類を切り替えると、インフレ連動型の国債と2倍保証つきの固定金利国債が長期的にどう異なる推移を見せるかが分かります。
貯蓄国債の用語集
- 複合金利
- I Bondの実際の年間金利。固定金利+(半年ごとのインフレ連動金利×2)+(固定金利×半年ごとのインフレ連動金利)で算出され、0%未満にはならないことが保証されています。
- 固定金利
- 国債の発行時に財務省が決める金利で、その国債の全期間を通じて変わりません。I Bondでは複合金利を構成する要素の1つ、Series EEでは唯一の金利になります。
- 半年ごとのインフレ連動金利
- I Bondの複合金利のうちインフレに連動する部分で、消費者物価指数(CPI-U)のデータに基づき毎年5月1日・11月1日に改定されます。
- 購入額(パー・バリュー)
- 国債を購入した際の元本額。I Bond・Series EEのいずれも、早期解約ペナルティが適用された後であっても、購入額を下回って解約されることはない仕組みです。
- 早期解約ペナルティ
- 購入から5年未満で貯蓄国債を解約すると、直近3か月分の利息が没収されます。購入から12か月間はそもそも解約自体ができません。
- 20年2倍保証
- Series EE Bondが購入から20年経過した時点で、少なくとも購入額の2倍の価値になることを財務省が保証する仕組み。通常の利息だけで届かない場合は一括で残高が調整されます。
- TreasuryDirect
- 米国財務省が運営する公式サイトで、電子貯蓄国債の購入・保有・解約を政府から直接行える窓口です。
米国貯蓄国債計算ツールのよくある質問
余談ですが ― 貯蓄国債が他の投資と少し違って見える理由
Series EE Bondは1980年からほぼ現在の形で存在していますが、「20年で2倍になる」という特徴的な仕組みが持つ意味は、購入した時期によって大きく異なります。1980年代前半は固定金利がかなり高かったため、通常の複利計算だけで20年より前に2倍へ到達することも珍しくありませんでした。2000年代から2010年代にかけて固定金利がほぼゼロ近くまで下がると、多くのSeries EE Bondは20年目に財務省による一括調整がなければ2倍に届かなくなり、控えめな固定金利の国債に見えて実は満期まで持ち続けた人には表示金利を静かに上回る実質利回りをもたらす仕組みになっていました。
一方I Bondはずっと新しい制度で、1998年に初めて発行されました。個人投資家がブローカー経由でTIPS(インフレ連動国債)を購入・管理する手間をかけずにインフレヘッジができるようにする目的で設計されたものです。I Bondの複合金利のうちインフレ連動部分は、社会保障の生活費調整(COLA)と同じ消費者物価指数のデータを使って年2回発表されるため、高インフレの時期にはI Bondの金利発表そのものが、通常の債券市場のニュースよりもはるかに広く注目される指標になったこともありました。
多くの人が見落としがちな点として、貯蓄国債の利息は米国内のどこでも州税・地方税が免除され、連邦税も国債が解約されるか30年の最終満期を迎えるまで(どちらか早い方まで)先送りにできます。さらに十分な期間保有して高等教育費に使った場合は、Education Savings Bond Programという制度によりI Bondの利息を連邦税から完全に除外できることもあり、これは国債自体に大きく宣伝されているわけではなく確定申告の説明の中に埋もれているため、意外と知られていない特典です。