英国印紙税計算(Stamp Duty Calculator)
英国(イングランド・北アイルランド)の不動産購入時にかかる印紙税(SDLT)を、物件価格・初回購入者特例・追加物件サーチャージ・非居住者サーチャージから計算します。価格帯ごとの累進税率の内訳も表示します。
英国の印紙税(SDLT)とは
SDLT(Stamp Duty Land Tax、印紙税)は、イングランドと北アイルランドで不動産や土地を購入する際に、買主が一度だけ支払う国税です。物件価格全体に一律の税率がかかるのではなく、価格帯ごとに区切られた「バンド(band)」に段階的な税率を適用し、超過した部分だけに高い税率をかける累進課税方式(住宅ローンの返済試算とは別の、取得時に一度だけ発生するコスト)です。
標準税率に加えて、初めて不動産を購入する人向けの軽減措置(First Time Buyer Relief)、2件目以降の住宅を購入する場合の追加サーチャージ(+5%)、英国居住者でない買主に課される非居住者サーチャージ(+2%)があり、同じ物件価格でも買主の属性によって税額が大きく変わります。なお、スコットランドではLBTT(Land and Buildings Transaction Tax)、ウェールズではLTT(Land Transaction Tax)という別の税制が適用され、本ツールが対象とするSDLTとは税率・仕組みが異なります。
使い方
- 物件価格を入力する 購入予定、または検討中の不動産価格をポンドで入力します
- 買主の区分を選ぶ 標準・初回購入者・2件目以降の物件のいずれかを選択します
- 非居住者サーチャージの対象か確認する 購入前12か月の英国滞在日数が183日未満なら、チェックを入れます
- 結果を確認する SDLT合計額・実効税率・価格帯別の内訳が表示されます
使いこなすためのヒント
- 初回購入者の軽減税率は「買主全員」が初回購入者である必要があります。共同購入で一方でも過去に不動産を所有していた場合は標準税率が適用されます。
- 既存の自宅を売却して新しい自宅に買い替える場合は、一時的に2件を所有していても「主たる住居の入れ替え」とみなされ、通常は追加物件サーチャージの対象外になります(一定期間内に旧居を売却する必要があります)。
- 海外に住みながら英国の不動産を購入する場合、追加物件サーチャージと非居住者サーチャージが同時に適用されることがあり、標準税率に対して合計+7%になるケースがあります。
- 税率や閾値は英国の予算(budget)で改定されることがあるため、実際の契約前には必ず公式情報(gov.uk)で最新の税率を確認してください。
活用シーン
住宅購入の予算計画
物件価格に加えてかかる印紙税を事前に把握し、諸費用込みの総予算を立てる
初回購入者としての軽減効果の確認
標準税率と初回購入者向け軽減税率で税額がどれだけ変わるかを比較する
投資用物件・セカンドハウスの購入検討
追加物件サーチャージが加わった場合の税額を試算し、投資採算に反映する
海外在住者の英国不動産購入
非居住者サーチャージを含めた総コストを事前に見積もる
用語集
- SDLT(Stamp Duty Land Tax)
- イングランド・北アイルランドで不動産・土地を購入した際に、買主が一度だけ支払う国税です。
- 累進税率(バンド課税)
- 物件価格を複数の価格帯(バンド)に区切り、各バンドに割り当てられた部分にのみその税率を適用する方式です。所得税の累進課税と同じ考え方です。
- First Time Buyer Relief(初回購入者向け軽減税率)
- 過去に世界のどこであれ不動産を所有したことがない買主に適用される軽減税率です。£500,000を超える物件では適用されません。
- 追加物件サーチャージ
- 購入後に2件以上の住宅を所有することになる場合に、標準税率に上乗せされる追加課税(2026年時点で+5%)です。
- 非居住者サーチャージ
- 購入前12か月のうち英国滞在日数が183日未満の個人に課される追加課税(+2%)です。
- LBTT・LTT
- それぞれスコットランド・ウェールズにおける不動産取得税で、SDLTとは税率・仕組みが異なる別制度です。
よくある質問
余談ですが ― 印紙税という名前の由来
「印紙税(Stamp Duty)」という名前は、かつて不動産の権利証書に実際の物理的なスタンプ(印章)を押すことで納税を証明していた慣習に由来します。英国では17世紀末から様々な文書に対して印紙税が課されるようになり、不動産取引もその対象のひとつでした。2003年にSDLT(Stamp Duty Land Tax)として現在の形に整理される以前は、単に「Stamp Duty」と呼ばれる、より広い範囲の文書課税の一部として不動産取引にも税が課されていました。
英国のSDLTは、物件価格帯ごとに異なる税率を段階的に適用する「累進課税」方式を採用しています。これは所得税の考え方と似ており、たとえば£300,000の物件を購入する場合、£300,000全体に同じ税率がかかるのではなく、£125,000までの部分は非課税、£125,000〜£250,000の部分には2%、残りの£250,000〜£300,000の部分には5%というように、超過した部分だけに高い税率が適用されます。この仕組みのため、価格帯の境界線をわずかに超えるだけで税額が急に跳ね上がることはなく、なだらかに増加していきます。
近年の英国の住宅政策では、初めて住宅を購入する人を後押しする一方、投資目的やセカンドハウスとしての物件購入には追加の税負担を課す傾向が強まっています。2016年に導入された追加物件サーチャージは当初3%でしたが、2024年10月の予算で5%に引き上げられ、buy-to-let(賃貸目的の物件購入)市場や住宅価格の抑制を狙った政策的な意図がうかがえます。