エニグマ暗号シミュレーター(ローター式暗号機)
第二次世界大戦でドイツ軍が使用したエニグマ暗号機を、実機通りのローター配線・段差機構でブラウザ上に再現するシミュレーターです。ローターの種類・リング設定・初期位置・プラグボードを自由に設定して暗号化・復号を体験できます。処理はすべてブラウザ内で完結します。
Tips
- エニグマは相互暗号(reciprocal cipher)のため、暗号化時と全く同じローター設定・初期位置・プラグボードを使えば、暗号文をもう一度処理するだけで元の平文に戻ります。「結果を入力に反映」ボタンで試せます。
- ローターの初期位置(Grundstellung)を1文字でも変えると、得られる暗号文は全く別のものになります。実際の運用でも、この設定は原則として毎日変更されていました。
- 反射板(Umkehrwalze)を経由する構造上、ある文字が暗号化後に同じ文字になることは絶対にありません。この性質は後にアラン・チューリングらの解読の重要な手がかりになりました。
- プラグボードは最大10組の文字ペアを入れ替えられます。実際のドイツ軍でも運用規則によって最大10組までに制限されていました。
- 「設定をランダム化」ボタンを押すと、運用担当者が毎日行っていた鍵設定(暗号鍵表に基づくローター・リング・プラグボードの変更)を疑似的に体験できます。
よくある質問
余談ですが ― エニグマとブレッチリー・パークの物語
エニグマは1918年にドイツの技術者アルトゥール・シェルビウスが商用の暗号機として特許を取得した装置で、後にドイツ軍が通信の秘匿に採用したことで広く知られるようになりました。ローターと呼ばれる回転式の暗号円盤を複数組み合わせ、キーを押すたびにローターが機械的に回転して配線が変化するため、同じ文字を入力しても毎回異なる文字に暗号化される仕組みを実現していました。
エニグマの解読は、まずポーランドの数学者マリアン・レイェフスキらが1930年代に数学的手法で機械の構造を解明したことから始まりました。第二次世界大戦開戦後はイギリスのブレッチリー・パークに解読チームが結集し、アラン・チューリングらが「ボンブ」と呼ばれる電気機械式の解読装置を開発して、日々変更される鍵設定を突き止める作業を組織的に行いました。この成果は連合国側の情報戦に大きく貢献したとされています。
エニグマの解読史は、どれほど複雑な暗号機構であっても運用上の癖や人為的なミス(同じ挨拶文で始まる、鍵設定表の使い回しなど)が突破口になり得るという教訓を現代の暗号設計にも残しています。本シミュレーターはあくまで歴史的な仕組みを学ぶための教育目的のツールであり、現代の通信を守るための暗号化には使用できません。