セント値・移調計算ツール

セント値と周波数比を相互変換し、基準周波数を半音数・セント数で移調した結果を計算できる無料ツールです。平均律と純正律のセント値比較表も掲載し、チューニングのずれの表現にも役立ちます。

12平均律の音程・セント値一覧(純正律との比較付き)

半音1つ=100セント、1オクターブ=1200セントとして算出した平均律の値です。完全5度・完全4度・長3度・短3度は、古くから知られる純正律の整数比(例: 完全5度=3:2)との差も比較できます。

音程 半音数 平均律(セント) 純正律(セント)
完全1度(ユニゾン) 0 0 0.00
短2度 1 100 —
長2度 2 200 —
短3度 3 300 315.64
長3度 4 400 386.31
完全4度 5 500 498.04
三全音(トライトーン) 6 600 —
完全5度 7 700 701.96
短6度 8 800 —
長6度 9 900 —
短7度 10 1,000 —
長7度 11 1,100 —
完全8度(オクターブ) 12 1,200 1,200.00

セント値・移調計算とは

セントは音程の大きさを対数目盛りで表す単位で、12平均律の半音1つを100セント、1オクターブ(周波数比2:1)を1200セントと定義します。周波数(Hz)の差は音高が上がるほど同じ音程でも数値が大きくなってしまい、異なる音域の音程を単純比較できません。セントを使えば音域によらず同じ音程を同じ数値で表せるため、移調・音律比較・チューニングのずれの記述など、音楽的な計算をセント単位の足し算・引き算だけで扱えるようになります。

このツールは「セント⇄周波数比」の相互変換と、「基準周波数を半音数・セント数で移調する」計算の2つを提供します。移調計算は平均律(1オクターブを12等分し、半音を正確に100セント刻みにした現代の標準的な音律)を前提としており、任意の半音数・セント数を指定した移調後の周波数を即座に求められます。純正律など平均律以外の音律を扱いたい場合は、周波数比の欄に目的の整数比を小数で直接入力することで対応できます。

セント値・移調計算の使い方

  1. 変換したい方向を選ぶ セント値から周波数比を求めるか、周波数比からセント値を求めるかによって、上段の該当する入力欄を使います。
  2. セント値または周波数比を入力する チューナーが示した「±◯セント」の数値や、純正律などで使われる分数比(3:2なら1.5)をそのまま入力します。
  3. 移調計算を行う場合は基準周波数と移調量を入力する 基準周波数(Hz)と、半音単位またはセント単位の移調量を指定すると、移調後の周波数が自動で計算されます。
  4. 単位(半音/セント)を切り替える 移調量の単位を半音とセントのどちらで指定するかを選べます。移調楽器の計算には半音単位が便利です。
  5. 一覧表で平均律と純正律のズレを確認する 主要な音程について、平均律のセント値と純正律のセント値を並べた一覧表で差を確認できます。

使いこなすためのヒント

  • セント値は正負どちらの数値も入力できます。負の値は「下方向」への移調・低い方向へのずれを表します。
  • 移調楽器(B♭管クラリネットやE♭管サックスなど)の実音を求める場合、半音単位で「移調量」に楽器の移調幅(B♭管なら-2など)を入力すると素早く計算できます。
  • 「周波数比」の欄には、平均律以外の音律(純正律・ピタゴラス音律など)で使われる分数比(3:2なら1.5)をそのまま小数で入力できます。
  • サンプルボタンを押すと基準周波数440Hz・移調量12半音(1オクターブ)の組み合わせが自動入力され、「2倍」という検算しやすい結果ですぐに動作を確認できます。
  • チューナーで「このピッチは15セント低い(フラット)」のように表示された場合、その数値をそのまま「セント値」欄に入力すると、対応する周波数比がすぐに分かります。

セント値・移調計算の活用シーン

DAW・シンセサイザーのピッチ調整

プラグインやオシレーターのデチューン量(セント指定)を、目的の周波数比から逆算して設定できます。

移調楽器の実音計算

B♭管クラリネットやE♭管サックスなど、楽譜と実音がずれる楽器の半音数を移調量に入れて実際に鳴る周波数を求められます。

チューナーが示すセント値の解釈

チューナー表示の「+15セント」のような数値を入力し、対応する周波数比としてどの程度のずれかを具体的に把握できます。

音律の学習・比較

平均律と純正律・ピタゴラス音律などの周波数比をセント値に変換し、音楽理論の授業やレポートで数値として提示できます。

サンプラー・エフェクターのピッチシフト量の設計

半音数で指定するピッチシフターの設定値を、目的の周波数比やセント値から換算して決められます。

セント・音程に関する用語

セント
音程の大きさを表す対数目盛りの単位です。半音1つが100セント、1オクターブが1200セントに相当します。
平均律
1オクターブを12等分し、半音を正確に100セント刻みにした現代の標準的な音律です。どの調でも均等に演奏できます。
純正律
和音が最も美しく響くよう、周波数比を単純な整数比(完全5度なら3:2)に厳密に合わせた音律です。転調には向きません。
移調
曲全体やある音を、一定の音程分だけ高く(または低く)ずらすことです。半音数またはセント数で移調量を指定します。
周波数比
2つの音の周波数の比率です。オクターブなら2:1(2.0)、完全5度なら平均律で約1.4983です。
移調楽器
楽譜上の音と実際に鳴る音の高さが異なる楽器です。B♭管クラリネットは記譜音より長2度低く実音が鳴ります。
ピッチのうなり
周波数がわずかに異なる2つの音が同時に鳴るとき生じる、音量が周期的に強弱する現象です。数セントの差でも聞き取れます。

よくある質問

セントは音程の大きさを対数目盛りで表す単位で、12平均律の半音1つ分を100セント、1オクターブ(周波数が2倍になる音程)を1200セントと定義します。周波数のHz差は音高が高くなるほど同じセント数でも大きな数値になってしまうため、音楽的な「音程の広さ」を一貫した尺度で表すためにセントが使われます。

平均律は1オクターブを12等分し、どの調でも均等に演奏できるよう半音を正確に100セント刻みにした現代の標準的な音律です。一方、純正律は特定の和音が最も美しく響くよう周波数比を単純な整数比(完全5度なら3:2)に厳密に合わせる音律で、例えば完全5度は純正律で約702セントになり、平均律の700セントとの間にわずか2セントの差(うなりの原因)が生じます。

楽譜上の音から、その楽器固有の移調幅(半音数)だけずらした周波数が実音になります。例えばB♭管クラリネットは記譜音より長2度(2半音)低く鳴るため、移調量に「-2」半音を指定して移調計算すれば実際に鳴る周波数を求められます。

訓練を受けた音楽家であっても、単音のピッチのずれを確実に知覚できるのはおおむね5〜6セント程度が目安とされます(条件や音色によって差はあります)。楽器のチューニングで「±5セント以内」を目標にすることが多いのはこのためです。

どちらも同じ情報を表しますが、複数の音程を足し合わせる(移調を重ねる)場合はセント値の方が単純な足し算で済み扱いやすくなります。一方、実際の周波数(Hz)を求める最終段階では周波数比(2^(セント/1200))への変換が必要です。本ツールは両方向の変換に対応しています。
ツールくん

余談ですが ― なぜ音程は「引き算」ではなく「セント」で測るのか

2つの音の高さの違いを表すとき、直感的には周波数(Hz)の差を計算したくなります。しかし440Hzと445Hzの差(5Hz)と、220Hzと225Hzの差(同じ5Hz)は、聴感上まったく違う大きさの音程に聞こえます。前者はほとんど気づかないほどの微差ですが、後者は明らかにピッチがずれて聞こえます。これは人間の音高知覚が周波数の「差」ではなく「比」に対応しているためで、この性質を数値化するために対数目盛りであるセントが生まれました。

セントという単位は19世紀のイギリスの音響学者アレクサンダー・エリスが考案したとされ、1オクターブ(周波数比2:1)を1200等分するという定義を採用しました。1200という数字自体には物理的な必然性はなく、12平均律の半音(100セント刻み)ときれいに対応させるための実用上の選択です。おかげで移調・音律比較・チューニングのずれの記述など、あらゆる音楽的計算がセント単位の足し算・引き算だけで完結するようになりました。

平均律と純正律のズレは、セント値で見るとその正体がよくわかります。純正律の完全5度(3:2という単純な整数比)は約702セントですが、平均律はオクターブを機械的に12等分するため700セントぴったりになります。このわずか2セントの差が、ピアノなど平均律で調律された楽器の和音にわずかな「うなり」を生む原因であり、弦楽器奏者やアカペラ合唱団が和音をより純正に響かせようと、平均律から意図的に外れた音程を選ぶ理由でもあります。

移調楽器の実音計算も、このセント・半音の考え方の応用です。B♭管クラリネットやE♭管サックスは楽譜と実際に鳴る音の高さが異なりますが、これは楽器ごとに固有の移調幅(半音数)が定まっているためで、記譜音の周波数にその半音数分の周波数比を掛けるだけで実音の周波数を求められます。オーケストラで異なる調の楽器が同じ楽譜の「ド」を演奏しても実際には違う高さの音が鳴っているのは、この移調の仕組みによるものです。