運動量保存・衝突計算ツール(弾性衝突・非弾性衝突・反発係数)
2物体の1次元衝突を計算する物理計算ツールです。完全弾性衝突・完全非弾性衝突・反発係数を指定した部分弾性衝突の3モードに対応し、衝突前後の運動量と運動エネルギーの変化を数値で比較しながら確認できます。物理の授業の検算や宿題の確認にも活用できます。
使い方のヒント
- 質量はどちらも正の数を入力してください。速度は負の値も入力でき、負の速度は逆方向への運動を表します。
- 「反発係数を指定」モードでeを1にすると完全弾性衝突と、0にすると完全非弾性衝突と全く同じ結果になります。3つのモードのつながりを確認するのに便利です。
- 運動量の合計は衝突の種類によらず常に衝突前後で一致します。これは外力が働かない閉じた系における運動量保存則そのものです。
- 運動エネルギーの合計は完全弾性衝突でのみ保存され、非弾性衝突では熱や音・変形のエネルギーとして失われます。「失われた運動エネルギー」の欄で損失量を確認できます。
- 自動車の衝突安全設計は、あえて車体を変形させて非弾性衝突に近づけ、乗員に伝わる衝撃を和らげる考え方に基づいています。
よくある質問
余談ですが ― 反発係数という発想はどこから来たのか
反発係数(coefficient of restitution)という概念を実験的に整理したのは、17世紀の科学者アイザック・ニュートンだとされています。ニュートンは様々な材質の球を落として跳ね返る高さを測定し、衝突前後の相対速度の比がほぼ一定の値になることを見出しました。これが後に運動の法則と並ぶ、衝突現象を定量的に扱うための重要な道具となりました。
興味深いのは、反発係数が0から1の間に収まるものの、同じ材質・同じ物体同士でも衝突速度や温度によって値がわずかに変化する点です。これは反発係数が物理法則というよりも、材料の弾性変形の性質を近似的にまとめた経験則に近い性格を持つためです。野球のボールやゴルフボールの反発係数は、スポーツ用品の規格で上限が細かく定められており、公式戦で使用できる用具の性能を制限する役割も果たしています。
完全弾性衝突(e=1)は理論上の理想であり、原子・分子レベルのごく小さなスケールを除けば、日常のマクロなスケールで厳密に実現することはまずありません。ビリヤードの球やニュートンのゆりかごの金属球はこれに近い高い反発係数を持ちますが、わずかな音や熱としてエネルギーが漏れ出しています。逆に完全非弾性衝突(e=0)に近いのは、粘土同士の衝突や、自動車が壁に激突して変形して止まるような場面です。