SaaS「Quick Ratio」計算ツール
新規獲得ARR・拡張(アップセル/クロスセル)ARR・解約ARR・ダウングレードARRを入力すると、SaaSの成長効率を測る指標「Quick Ratio」を算出できます。4段階評価・ベンチマーク早見表付き。
Quick Ratioのベンチマーク早見表
| 評価 | Quick Ratioの目安 | 意味 |
|---|---|---|
| Excellent | 4以上 | 獲得ARRが喪失ARRの4倍以上ある、非常に健全な成長エンジンの状態 |
| Good | 2〜4未満 | 獲得ARRが喪失ARRを大きく上回っており、順調に成長できている水準 |
| Fair | 1〜2未満 | 獲得ARRが喪失ARRをやや上回る程度で、改善余地のある水準 |
| Poor | 1未満 | 喪失ARRが獲得ARRを上回り、事業全体のARRが収縮している危険な水準 |
※ 事業ステージ・顧客セグメントによって適正水準は異なります。あくまで一般的な目安としてご利用ください。
使い方のヒント
- Quick Ratioは既存顧客基盤だけを見るNRRとは異なり、新規獲得ARRを分子に含めるため、事業全体の成長エンジンの健全性を判断するのに向いています。
- 新規獲得と拡張の内訳を分けて見たい場合は、当サイトのMRR・ARR成長シミュレーターやSaaS「Magic Number」計算ツールと組み合わせて確認してください。
- 解約とダウングレードのどちらが総喪失額の主因かを個別に把握しておくと、カスタマーサクセス施策の優先順位を判断しやすくなります。
- 月次・四半期・年次のいずれでも計算できますが、期間が短いと解約・拡張のタイミングのブレの影響を受けやすいため、比較する際は期間をそろえましょう。
よくある質問
余談ですが ― 「量」だけでなく「質」を測るSaaS指標
SaaSのQuick Ratioは、ベンチャーキャピタルMatrix PartnersのパートナーであるDavid Skok氏が2010年前後に提唱した概念とされ、後にSaaStrをはじめとするSaaSコミュニティでも広く参照されるようになりました。単純なARR成長率だけを見ていると、その成長が「新規獲得によるものか」「既存顧客の解約が少ないだけか」を区別できません。Quick Ratioは獲得額と喪失額を直接比較することで、成長の「質」を一目で判断できるようにします。
名称の由来は、企業の短期的な支払い能力を測る会計指標「当座比率(Quick Ratio)」から着想を得ています。会計上のQuick Ratioが流動資産と流動負債の比率で支払い能力を測るのと同様に、SaaSのQuick Ratioは獲得ARRと喪失ARRの比率で事業の成長体力を測る、という類推的な命名です。
実務では、Quick Ratioが1を下回る(喪失が獲得を上回る)状態が数ヶ月続くと、ARR自体が縮小に転じる危険信号とされます。投資家がSaaS企業のデューデリジェンスで確認する頻出指標の一つであり、NRR・Rule of 40と組み合わせて多角的に事業の健全性を評価するのが一般的です。