DMARC集計レポート(Aggregate Report)ビューア
メールサーバーから届くDMARC集計レポート(XML・gzip・ZIP形式に対応)をアップロードすると、送信元IPごとのSPF/DKIM認証結果・ポリシー適用結果を表形式で表示します。解析は100%ブラウザ内で完結しファイルはサーバーに送信されません。
DMARC集計レポートビューアとは
DMARCを設定したドメインには、Gmail・Yahoo・Microsoftなど受信側のメールプロバイダから「自社ドメインを名乗るメールが誰から何通届き、SPF/DKIM認証にどう判定され、ポリシーがどう適用されたか」をまとめたXMLファイルが日次で届きます。これがDMARC集計レポート(Aggregate Report)です。しかし生のXMLは人間が読むことを想定した形式ではなく、gzipやZIPで圧縮されているため、届いた添付ファイルをそのまま開いても内容を把握できません。
このツールは、その集計レポートのXML・gzip・ZIPファイルをブラウザにアップロードするだけで、送信元IPごとの通数・SPF/DKIM認証結果・ポリシー適用結果を一覧表に変換します。解析処理はすべてブラウザ内のJavaScriptで完結し、ファイルの内容が外部サーバーへ送信されることはありません。社内のメール送信元IPという機微な情報を扱うツールのため、この点を設計上の前提にしています。
DMARC集計レポートビューアの使い方
- 集計レポートを用意する DMARCレコードのruaタグに指定したメールアドレス宛に届いた添付ファイル(.xml / .xml.gz / .zip)を用意します。
- ファイルをアップロードする ドロップ領域にドラッグ&ドロップするか、クリックしてファイルを選択します。
- レポート基本情報を確認する 送信元組織・集計期間・対象ドメイン・DMARCポリシー(p)と適用率(pct)が表示されます。
- 送信元別の認証結果を見る 送信元IPごとの通数、SPF/DKIMの合格・不合格、ポリシー適用結果が表形式で並びます。
- 見慣れない送信元がないか確認する 把握していないIPが大量に送っている場合、詐称やシャドーITの可能性を疑い、Fromヘッダーと合わせて調査します。
使いこなすためのヒント
- DMARC集計レポートは通常、report_metadataのruaに指定したメールアドレス宛に日次でXML(gzip圧縮またはZIP圧縮)で届きます。届いた添付ファイルをそのままこのツールにアップロードできます。
- 「SPF/DKIM両方合格率」が低い場合、正規の送信元(自社のメール配信サービスや代理店等)がSPF/DKIMを正しく設定していない可能性があります。送信元IPを控えて調査してください。
- policy_publishedのp(ポリシー)がnoneの間は、認証に失敗したメールも配送され続けます。合格率が十分に高くなってからquarantine・rejectへ段階的に引き上げるのが安全な運用です。
- 見慣れない送信元IPが大量のメッセージを送っている場合、自社ドメインを騙ったフィッシング・スパムの可能性があります。header_fromと送信元IPの逆引きを確認してください。
- 複数日分のレポートを見比べる場合は、ファイル名に埋め込まれた集計期間(begin/end)をメモしておくと時系列の変化を追いやすくなります。
DMARC集計レポートビューアの活用シーン
なりすまし・フィッシングの試みを点検する
自社ドメインを名乗る送信元のうち、把握していないIPアドレスが混じっていないかを定期的に確認し、詐称メールの兆候を早期に発見します。
新しいSPF/DKIM設定の移行後に検証する
メール配信サービスを乗り換えた直後やDNSレコードを変更した直後に、実際の送信元で認証がpassしているかをレポートで裏付けます。
サブドメインのポリシー遵守状況を監視する
sp(サブドメインポリシー)を設定している場合、サブドメイン経由の送信がその方針どおりに扱われているかを確認します。
委託先・代理店など第三者送信元を棚卸しする
マーケティング代理店や外部SaaSが自社ドメインを名乗って送信しているケースを洗い出し、SPF/DKIMの設定漏れがないか点検します。
ポリシーを段階的に引き上げる判断材料にする
noneからquarantine・rejectへポリシーを厳格化する前に、合格率が十分高いかをレポートで確認し、正規メールの誤遮断を防ぎます。
DMARCに関する用語集
- DMARC
- Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformanceの略。SPFとDKIMの結果を束ね、認証に失敗したメールをどう扱うかをドメイン所有者がDNS上で宣言できる規格です。
- SPF
- Sender Policy Frameworkの略。そのドメインからのメール送信を許可されたIPアドレスをDNSに列挙しておき、実際の送信元IPと照合する仕組みです。
- DKIM
- DomainKeys Identified Mailの略。メールに電子署名を付け、送信中に改ざんされていないこと、正当なドメインから送られたことを検証する仕組みです。
- 集計レポート(Aggregate Report)
- DMARCのruaタグで指定した宛先に日次で届くXML形式のレポートです。送信元IPごとの通数・認証結果・ポリシー適用結果がまとまっています。
- ポリシー(p / sp)
- 認証に失敗したメールの扱い方です。none(何もしない・監視のみ)、quarantine(迷惑メール扱いにする)、reject(受信拒否)の3段階があり、pは本ドメイン、spはサブドメイン向けの指定です。
- アライメント(alignment)
- Fromヘッダーのドメインと、SPF/DKIMで認証された実際のドメインが一致しているかどうかの判定です。一致していないとDMARCとしては不合格になります。
- pct
- DMARCポリシーを適用するメッセージの割合(%)です。100未満に設定すると、指定した割合のメッセージにだけポリシーが適用され、段階的な移行に使われます。
- ディスポジション(disposition)
- 受信側が実際にそのメールへ適用した処理結果です。ポリシーで宣言した方針(p/sp)どおりに扱われたかを、record単位で確認できます。
よくある質問
余談ですが ― DMARCレポートが「見えない」を「見える」に変えた
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)は2012年に策定された規格で、SPF・DKIMという2つの既存の認証技術を束ね、認証に失敗したメールをどう扱うか(ポリシー)を送信元ドメイン自身がDNS上で宣言できるようにしました。しかし多くの管理者にとって最大の価値は、実はポリシー適用そのものではなく「集計レポート(rua)」機能にあります。
DMARC以前、あるドメインを名乗って送られているメールがどれだけあり、そのうち何通が正規の送信元で何通が詐称かを知る手段はほとんどありませんでした。自社ドメインの評判が悪用されていても、被害者(受信者)からの苦情がない限り気づけない「見えない脅威」だったのです。
DMARC集計レポートは、その名を騙る全世界のメールについて「どのIPから何通送られ、SPF/DKIMにどう判定されたか」を可視化する仕組みです。大手プロバイダ(Gmail・Yahoo・Microsoft等)は自社が受信したメールについて忠実にレポートを送り返してくるため、自社が把握していない送信元(クラウドサービス、営業担当が個人契約したメール配信ツール、あるいは詐称者)を発見できます。
2024年にGoogleとYahooが大量送信者に対しDMARCの導入を実質的に義務化したことで、集計レポートの解析需要は開発者・メール管理者の間で急速に高まりました。多くの企業は有償の監視SaaSを導入しますが、単発でレポートの内容を確認したいだけであれば、本ツールのようにブラウザ内で完結する無料の解析ツールで十分な場合も多いでしょう。