トルク(力のモーメント)計算機 ― τ=rFsinθ
力・レバーアーム長・角度のうち3つを入力すると、残る1つ(トルク・力・レバーアーム長・角度のいずれか)を自動計算。N·mとft·lbの単位換算にも対応したトルク計算ツールです。
代表的な締め付けトルクの目安
| 用途 | トルクの目安 |
|---|---|
| 自動車のホイールナット | 100 - 140 N·m(74 - 103 ft·lb) |
| スパークプラグ | 20 - 30 N·m(15 - 22 ft·lb) |
| 自転車のステムボルト | 5 - 6 N·m(3.7 - 4.4 ft·lb) |
| ノートPCの筐体ネジ | 0.2 - 0.3 N·m(0.15 - 0.22 ft·lb) |
使い方のヒント
- 計算したい変数(τ・F・r・θ)を選ぶと、残りの3つの入力欄が表示されます。まず何を求めたいかをボタンで選んでください。
- 角度が90°のとき力のモーメントは最大になり、0°や180°では力がレバーアームと平行になるためトルクはゼロになります。
- 角度を逆算する場合、sinθ=sin(180°−θ)の性質上、鋭角と鈍角の2つの解が数学的に存在します。本ツールは0〜90°の主値を表示します。
- 自動車整備のトルクレンチは多くがft·lb(フィートポンド)表記のため、計算結果はN·mとft·lbの両方を確認できるようにしています。
- レバーアーム長は回転軸から力の作用点までの垂直距離です。力の向きと腕の向きが一致する(θ=0°)場合は回転させる効果がないため注意してください。
よくある質問
どちらも単位はN·m(ジュール)で共通しますが、仕事は力の向きに物体が移動した距離に働き、トルクは回転軸まわりの回転効果を表す量である点が異なります。工学的な混同を避けるため、トルクの単位は慣習的に「N·m」、仕事・エネルギーは「J(ジュール)」と表記を使い分けます。
いいえ。rは回転軸から力の作用点までの直線距離、正確には「回転軸から力の作用線までの垂直距離」です。力を斜めに加えると、実際の腕の長さより短い有効レバーアーム長(r×sinθ)になります。
アメリカを中心にヤード・ポンド法が広く使われているため、自動車整備の現場ではft·lb表記のトルクレンチが主流です。1 N·mは約0.7376 ft·lbに相当します。
sinθはθ=90°で最大値1を取り、90°を超えると再び減少します(例えばθ=150°はθ=30°と同じsin値になります)。力の向きが回転方向と逆に近づいていくため、実用上は0〜90°の範囲で考えるのが一般的です。
力F、レバーアーム長r、sinθのいずれかがゼロのときトルクはゼロになります。特にθ=0°(力が腕と平行)またはθ=180°のときは、力を加えても物体を回転させる効果が全くありません。
余談ですが ― レンチが長いほど楽に締まる理由
「固いボルトを緩めるときは、レンチの柄を長くすればするほど小さな力で済む」というのは経験的に知られた知恵ですが、これはまさにトルクの公式τ=rFsinθが示す関係そのものです。同じトルクτを生み出すのに必要な力Fは、レバーアーム長rに反比例します。パイプレンチに長いパイプを継ぎ足す「チーターパイプ」と呼ばれる裏技が有効なのも、この物理法則によるものです。ただし工具の設計限界を超える力をかけると破損や事故の原因になるため、推奨トルク値の範囲内で作業することが安全上重要です。
自動車整備の世界でトルクレンチが必須工具とされているのは、ボルトの締め付けトルクが弱すぎれば緩みや脱落の原因になり、強すぎればボルトの降伏やねじ山の破損につながるためです。ホイールナットやシリンダーヘッドボルトなど、多くの部品にメーカー指定の適正トルク値(多くはN·mまたはft·lbで表記)が定められており、この数値を正確に再現することが整備品質を左右します。
トルクという概念は建築・機械工学だけでなく、身近な場面にも応用されています。ドアノブが取っ手の中心ではなく端に付いているのも、回転軸(蝶番)からできるだけ離れた位置に力を加えることで、小さな力で大きなトルクを生み出し楽にドアを開けられるようにする設計上の工夫です。